釜飯仲間

第56回 釜飯仲間・おこげのお話

2013.6.30
神奈川・緑の劇場

前副理事長の山田亜紀子さんが和歌山県高野町富貴・筒香に移り住んだのは2010年春でした。

高野町役場から求められた、地域活性化の担い手としての職務は2年の契約で、その後、2012年春からは、大阪に住まいを移し、やがて職も得て、今は、富貴・筒香に通いながら、出会った地域の皆さんとの関わりを大切に、お手伝いできることを求めて過ごしています。

地域では”アキちゃん”と呼ばれ親しまれていますが、横浜でも活躍していたアキちゃんを慕って、一緒に過ごしてきた友人、仲間たちが、次々と高野町富貴・筒香を訪ねました。

そのうちの一組の、今は夫婦となったシンガーソングライター、Chojiさんと、マネージャーの、ひーさん(私たちは、そう呼んでいます。)は、耕作放棄された水田の復田チーム”田んぼつくりタイ”に参加して、苗づくり、田植え、草取り、稲刈り、脱穀・・と続く一連の米づくりを体験しました。
(はまどまでお米の食べ比べをした時には、堂々人気ナンバーワン!お寿司向きとは、おにぎり屋のM氏)横浜からはるばる通っての取り組みだったのです。

NORAの石田理事が運営する”なーに谷っ戸ん田”をはじめ、身近にも米づくりを体験できる場なら、いろいろあるけれど、おそらくは、田んぼづくりの体験が目的なのではなく、アキちゃんとのつながりから、富貴・筒香の皆さんと親しくなる中で、自分たちが担える役割はなんなのか?その一つが復田作業だった、ということだったのではないでしょうか?

だから、幾度となく富貴・筒香に通うことも大切なことで、信頼関係が育まれたからこそ、次の大きな展開にも結びついたのでしょう。

2011年8月初旬の夏まつりを盛り上げようと、横浜からも10人以上が駆けつけて、屋台のスタッフに加わったり”浜っ娘音頭”を皆さんと踊ったのですが、その準備の時に、楽器や音響機器のセットやテストをしているChojiさんに、田んぼで馴染みの村の仲間から『なんで、歌、うとうとるん?』と聞かれたと言うのです。『えーと、ボク、歌手なんですぅ。』『?!』

いかにもChojiさんとひーさんらしいエピソードです。

田んぼづくり、米づくりを通して、富貴・筒香の自然と歴史にふれ、人々との語らいから、聴くものの心をゆさぶる歌が生まれます。”田んぼオブザワールド”長い年月、途絶えてしまった盆踊り歌”やっちょんまかせ”の歌と踊りの復活を果たしたのが2012年7月末の野外フェスティバルでした。

その名も『田んぼオブザワールド』

古い録音を何度も何度も、繰り返し聴いて、地域の皆さんも、昔の記憶をたどってくれました。

ようやく歌を甦らせると、踊りを覚えている人たちは、体に染み付いた記憶が動き、踊り出したのです。そして”記憶の旅”という歌が生まれます。

今年は7月27日(土)午後5時から日没まで、『第2回田んぼオブザワールド』を開きます。

横浜から向かう仲間たちは、少しでも”やっちょんまかせ”の歌と踊りを覚えて野外フェスティバルの会場に向かうつもりです。会場の設営に加わる人、スタッフに参加する人、片付けをして帰る人。それぞれができることを持ち寄ることでしょう。

ひとりひとり、違う思いを持って、一つの場に集い、また、ひとりひとりの日常に帰っていく、振り返れば一瞬の夏の思い出。

それでも、気持ち込めてのぞんでみたい場があります。

筒香『田んぼオブザワールド』は、そういう場だと思っています。
【Chojiさん「田んぼオブザワールド」】
http://choji.jp/schedule.html

【富貴・筒香田んぼつくりタイ】
http://fuki-tsutsuga.cocolog-nifty.com/

【なーに谷っ戸ん田】
http://www.yattonda.com/

【山田亜紀子さんの高野町富貴暮らしコラム】
https://nora-yokohama.org/satoyama/007/

【高野町富貴の町並み】
http://matinami.o.oo7.jp/kinki3/kouya-fuuki.html