第54回 釜飯仲間・おこげのお話
2013.4.30神奈川・緑の劇場
2013年春。桜が2週間早く咲き始めたのを皮切りに、梨の花も2週間早く咲き、桃、さつき、ツツジ、藤・・いずれも早々と満開。
花見の予定を前倒ししても追いつかない有り様。
このまま、蜜柑の開花も早まるのだろうか?
例年なら、5月21日前後に神奈川の蜜柑の花は咲く。甘い香りが町に漂う。
今年は13日の月曜日に蜜柑の花を見に行ってみようか。なにしろ一年に一回しかチャンスがない。
それだってタイミングが合わなくて、『蜜柑の花咲く丘』を体験することは、都会暮らしの人間には簡単ではない。
様々な花の中で、蜜柑の花に特に思い入れか強いのは、生産者との、強いつながりがあるからだ。
毎年のように蜜柑の収穫を手伝いに行き、富士山を中心にした曽我の山からの眺望は、何度観ても感動を新たにする。
共に作業をした仲間たちとの会話も楽しく、それらをさらに忘れがたいものにしてくれるのが、なんといっても蜜柑だ。
“太陽の子どもたち”のような橙色に染まった蜜柑。収穫前の、蜜柑いっぱいに満たされた晩秋の山々の景色。
それらはすべて、この5月の開花から始まる、とも思えるのだ。
まったく、生産者とのつながりは、都会暮らしを豊かにしてくれる。
NORAの事務所・横浜市南区宿町2-40大和ビル119号室をフリースペースとして活用しよう、地域に役立つ活動をしよう、都会の真ん中に、里山の入り口をつくろう!
その名前『はまどま』と名付けるのには、苦労した。いろいろ案はでたが、どうもピタッとこない。
みんなが『よーし!』と思える名前・・・。
『はまどま』というアイデアは、生産者から出されたものだ。
『農家の土間』語らいの場、作業・手仕事の場、そのまま入り口。
変幻自在のフリースペースでありながら、外と内をつなぐ大切な場。
その『はまどま』で”和歌山県高野町富貴の畑耕し隊の皆さんが生産した大豆で味噌作り”が実現した。4月28日(日)のこと。
昨シーズン、大豆と味噌を届けていただき、感想などをこちらから送ってささやかな交流が始まった。
大豆も味噌もたいへんに好評だった。
“畑耕し隊”のメンバーは、気持ちを強くして作付け面積を増やして下さり、一粒一粒選別して下さった。
味噌づくりのシーズンとしては、ギリギリになってしまったが、どうしても今年やりたかった。
この機会を逃したらまた来年になってしまう。一年一度!とは味噌作りにも言えるのだ。
急な呼び掛けにもかかわらず、11組の参加を得て無事に完了。次のシーズンにはもう少しスムーズにできるだろう。
協力いだいた厚木の井上麹店では、次のシーズンには米を持ち込んで米麹を作っていただける可能性が。
そうなれば、筒香(富貴の隣接地域)の”田んぼ耕し隊”のお米で味噌作りができるではないか!
その夜は、引き続き、大豆づくしの食事会にも16名の参加があり、またまた感動の宴に。皆さん『はまどま』に集っていただき、たいへんにありがたいことです。
さて、私たちが、ささやかな、でも大切にしたい営みに精を出していた、同じ日。4月28日(日)
安倍晋三総裁率いる自民党が12月の総選挙で公約していた『主権回復を祝う日』の祝賀行事を催していた。
天皇皇后両陛下をお招きし、両陛下ご退席の折りには『天皇陛下万歳!』と声が上がり、安倍晋三首相も唱和したという。
沖縄や、都内でも、この祝賀行事に抗議する集会が開かれていた。
社会のウネリと、私たちの日常。無縁ではない。
味噌が長い発酵の月日を経て、私たちの食卓を豊かにしてくれる時、私たちの社会は今よりも暮らしやすくなっているだろうか?
諦めずに歩みを進めたい。
すでに政治家たちの頭の中は参議院選挙でいっぱい、らしいのだが。
おもろ童子 2013年4月30日記