第57回 天日干しの効果。乾燥の仕方で、甘み・水分・油の質が決まる
2021.11.1映像の持つ力
花芽分化の条件
小さな森のある畑は、島ラッキョウの花が満開。
10月も下旬になると、畑をにぎわす花は、草丈のある菊芋の黄色い花から、小さな花がたくさん集まった島ラッキョウの薄桃紫色に移り変わります。
ベランダ里山では・・・
なんと、サツマ芋(安納芋)の花が咲きました!。
念願のさつま芋の開花。
開花のあとに種をつけ自家採種できたら、種芋から芽出しする栄養繁殖(クローン増殖)ではなく、種を発芽させる種子繁殖で、あたらしいDNAを持つサツマ芋を育てることができます!!!。
とは言っても、本州でさつま芋の固定種栽培は難しい。
日本で、さつま芋が開花して結実できる条件に合う地域は沖縄。(奄美やトカラ列島ではどうなのかしら?)
本州の気候条件では、さつま芋が花を咲かせるときにおこる、栄養生長から生殖生長に切り替わる、花芽の分化の条件が揃わないため、花を咲かせることは難しいのです。
一輪目が咲いた6日後に、2つ目の花が咲きました。
花のあとは結実。ベランダ里山のさつま芋。さて種は採れるでしょうか?
・・・そんなにうまくいかないよね。2つとも残念ながら受粉できず落花となりました。
「乾燥の仕方で、甘み・水分・油の質が決まる」
これは、落花生の話。
わたしたちの小さな森のある畑では、落花生を栽培して8年ほど。
はじまりは、畑に落ちていたひと粒の落花生。
きっとカラスが落としたのでしょうね。
落花生のサヤをふると中に実がある!
実を蒔いたら芽が出るだろうか?
そのひと粒を蒔いて自家採種を繰り返し種を継ぎ8年。
先週、20株を掘り上げました。
この日の野良しごとの最優先は落花生の収穫。
そろそろ柿の実がなくなる頃です、アライグマの好物が減ると、次は、うちの落花生が狙われます。
ありがとう!!根粒菌(こんりゅうきん)さん。
今年もおかげさまで、落花生の実が良く育ちました。
マメ科は根粒菌と共生できる植物です。
根粒に棲む根粒菌は、成長に必要な栄養素の窒素を合成できます。(窒素の固定化)
こうした植物と微生物に共生の関係があることから、肥料をあげていないうちの畑でも、引けを取らないほどの落花生が育ちます。
こちらは、3週間前に収穫した落花生。ベランダの物干し竿に吊るして天日干しです。
話を、落花生の乾燥の仕方に戻します。
落花生の乾燥で一番良い方法は、天日干し。
機械など人工的に早く乾燥させたものは、甘味が少なく、豆の油も変質しやすい。
落花生の水分量の変化は、収穫したときは40-50%。乾燥が終わるときには10%以下になる。
乾燥がすすんでいる間に甘味が増えると考えられています。(※1)
落花生の豆の半分は油(脂肪)、1/4がタンパク質。
酸化した油は美味しくないもんですね。
落花生の食味には、収穫後の地道な作業による時間が関わっていたのですね。
収穫したその日は、茹でピーナツをいただきました。
甘みが濃厚で美味しい。
翌日は自家製のピーナツバターと合わせて朝食に。
日本ほうれん草
あまった石灰を引き取りました。
さてどうしよう? ほうれん草を植えることになりました。
相棒くんが選んだ品種は日本在来種の「日本ほうれん草」。
美味しいのだけど、栽培に手間がかかるため、今ではほとんど植えられていない品種だそうです。
種は忍者が使う撒菱(まきびし)のようにトゲがあります。
蒔く時は痛かったなぁ。
種は丸くないと種蒔機に入らないから、トゲがある日本ほうれん草が、農家さんに避けられるのも無理ないかしらね。
甘みが特徴の「日本ほうれん草」、収穫まであと1月ほど。楽しみです。
柿の木にキュウリが実る
地這いのキュウリが、柿の木をのぼっています。
時は10月。いつまで実のかしら?。
空をめがけて上ったのかしら?
背の低いわたしでは届かなーい。相棒クンが収穫。
このとき、もうひとつ実っていた小さいキュウリも無事におおきくなり、柿の木の上で2本のキュウリが収穫できました。
224 → 32
オクラの2週間においての収穫量の変化です。
224個収穫できたときのオクラ。
収穫の秋。柿、ナツメ、ブドウ、洋ナシ・・ではなくヒョウタン。
ブドウの品種はマスカットベリーA。採りそびれたもので急いで収穫。色の薄い粒も甘かった。
寒い気温のなか、時間をかけて熟成されたからかな。
またヒョウタンが出てきた!! 今年最後のヒョウタンだわ。記念撮影。
上をみると・・・
もう一つ、実っているぅ!!。
束子用のヘチマ
今年のヘチマは、なんてことでしょう。
樹上で果肉部分がやせていき皮だけになります。そのため皮がぺりっとめくれ簡単に繊維がとれるのです。
ヘチマの実を水につけ果肉を腐られせなくてもよいから手間いらず。匂いも気になりません。
どんな条件だと、こうなるのかしら。
こちらは週ごとに巨大化している束子用のヘチマ。
ステンレスタワシの繊維の破片がお料理に入っていたら、ぎょっとしますよね。
ヘチマタワシは植物素材だから安心。
コンポストにもできるから、行政の生ゴミ回収に出して焼却炉で燃やすといった手間を介すことなく、自宅の台所から、育てた畑に直接かえすことができます。
なんて効率的なのかしら。
ステンレスタワシはお鍋を焦がした時に大助かり。いったい製造から処分までにどれだけのエネルギーを使っていることでしょうね。大事に使おう。
カマキリのいる畑は害虫が少ない?
グミの木にサルナシの木をけん引。
木陰で本を読めたらなぁ、この時期の果樹はイラガの幼虫に注意なのです。
うかつに幼虫のトゲに触れるとするどい痛みがさします。
毒性は弱いといっても痛いのは困りもの。
そんなイラガの幼虫は害虫なのかな?
この小さな森のある畑には、カマキリがいます。
カマキリを見つけてもたいていじっとしています。
カマキリの捕食は待ち伏せ。
サワーチェリーの木で他のカマキリと対峙していたときも両者じっとにらみ合い。
獲物を求めて移動するのではなく、その範囲で安定的に虫を食べてくれることから、駆除対象にはならない益虫になっています。
小さな森のある畑には、虫がたくさんいても作物が全滅したり、攻撃され危険といったことはないため、特定の虫を集中的に駆除することはないです。
いつも感心することは、あんなにたくさんいた虫は、いつ間にかいなくなっていること。
食物連鎖は複雑にからみあい、生態系は食物連鎖の網でつながっています。
人が一時の都合で手をくだす影響は計り知れませんね。
また一人のひとの選択が生態系を健在化させる力も小さくないですよね。
人は自然の一部。
(中川美帆)