第36回 釜飯仲間・おこげのお話
2011.11.1神奈川・緑の劇場
『はまどま』に入ると、初めての人には、木の香りがするらしい。
確かに10年前、事務所開設の時に、強い思いを込めて飾りつけた木の壁と、対面する壁面の木の棚は圧巻だ。そして、一つ一つの家財に、机や椅子、チラシのラック・・・・。その時々の活動に関わった仲間の思いが込められている。
新しい仲間には、そんなNORAの思いを木(竹ももちろん)のさまざまな製品や部材から受け継いで、自分の思いを足してもらいたい。それは、『はまどま』そのものにも言えるし、やがてNORAに主体的に関わることにもつながっていくだろう。
木や竹製品だけではない。今年になって壁面を飾る英語の翻訳つきのパネルが4本。
昨年の今頃、名古屋で開催されたCOP10(生物多様性締約国会議)に合わせて現地でNORAの活動をアピールするために作成した。そのため英語の訳文を付けた貴重な資料となった。なにげなくぶら下げていれば、ホコリも気になる。けれど、そこにしたためてあるひとことひとことは、私たちの未来への展望をさししめしている。
昨年、名古屋では、”里山イニシアチブ”として、日本の里山と人々の暮らしのあり方を世界に広げようという取り組みが行われ、多くの賛同を得たと聞いている。
“生き物のにぎわいを身近な里山に取り戻す”それは、身近な里山に代表される自然と日常の暮らしとの関わりを問い直すことと深く結びついている。
横浜と言えば、外部からは大都会のイメージ、里山とか農業、漁業とも無縁と思われていることは良く言われることだ。その横浜からNORAが里山イニシアチブの一端を発信することがどれほど貴重なことか、年を経るごとに明確になるだろう。
私たちが生まれ育った時代・・・。自然と折り合いながら、自然の恵みを活かし、感謝し、祈りながらコミュニティを築き家族・一族の絆を大切に子孫をなにより大切にする。(大切にされたからこそ祖先を敬う心も育まれる)。
太古より列島に重層に積み重ね伝承されてきた、先人の思いに自らの思いを添えて子孫に伝えるいとなみを、私たちの時代は断絶した。里山との関わりに心を寄せて再び人々の本当の幸せがどこにあるのか、探る毎日を、私たちは、それでも送ってきた。
世界中に私たちと思いを一つにできる人々がいる。70億人の99%なのかもしれない。ただ、私たちの仲間は御人好しで正直で人を騙すことにたけてはいない。例えば日本だけが貧乏になってもいいのか!と恫喝されると脅えがちだ。
すでに私たちは貧乏である。それよりも健康で幸福感を持って世界の仲間と生きていきたい。
だからTPP(環太平洋パートナーシップ)協定には、断固反対する。
(おもろ童子)