第22回 釜飯仲間・おこげのお話
2010.8.31神奈川・緑の劇場
「はまどま」のある風景。2010年8月のことです。
「今日は暑いから、絶対に外に出たらダメって、娘にきつく言われていたのに出てきてしまって。こちらで休ませていただけるなんて、まるで神様に出会ったようです。人通りがないですものね。倒れる場所によっては誰にも見つけられないまま…。でも、救急車で運ばれるようなことがあったら、そして娘に知られるようなことになったら、絶対に娘に知られるわけには、いかないのです。」
「どうしても、会いたい人が、訪ねたい人がいて出てきたのです。駅から近いはずが迷ってしまって、一時間以上、グルグル歩きまわってしまって、自分でも何がなんだかわからなくなってしまいました。立っているのがやっとだったのね。」
「娘は毎朝、毎晩決まった時間に電話をしてきていろいろ心配してくれます。ありがたいと思わなくてはいけないのだろうけど…ほっといて!好きにさせてって、思ってしまうのです。」
炎暑の大和ビル前で意識もうろうとした高齢のご婦人。ふだんは開いていない「はまどま」。そして、炎天下、人通りもありません。良かった!たまたま立ち寄った「はまどま」にお連れして休んでいただき、元気を回復されました。この夏の、とんでもない、炎暑・酷暑の、まだまだ始まりの頃でした。
「郵便局の近くに訪ねたい家があるはずなんです。通りがかりの方に、郵便局はどちら?って伺うと親切な方なのねぇ。日曜日だから郵便局は開いてないって。」
この夏、桑田佳祐さんが食道ガンの手術をしました。
ラジオを聞きながら過ごす時間があると、FM横浜から、サザンや桑田さんの歌が流れてくることが多くなったようです。ファンはもちろん、彼の回復を多くの人々が祈っているに違いありません。
彼とサザンオールスターズが送り続けた音楽は、どれほど多くの人々の心の糧になったことでしょう。彼らのライブに集った人々がどれほど生きる力を得たことでしょう。
音楽をはじめ、いわゆる芸能・芸術のたぐいは、無くてもかまわないように扱われながら、はたして、なくて、私たちは生きていけるのでしょうか?そんなこの夏、百歳以上の高齢者が全国で行方不明になっていることが明らかになりました。その数は何百人にもなり、調査が進むほど増え続けています。家族や地域の絆の希薄さをマスコミは取り上げています。
なにより、この夏、高齢者を中心に「熱中症」で病院に運ばれたり、亡くなる人が、まだまだ相次いでいる夏です。猛暑・酷暑の毎日です。そして、この夏「はまどま」は、いつになく大活躍でした。
NORAの会計年度の変更に伴い21日の土曜日に「総会」と「懇親会」を開きました。同じ日に、「はまどま」メンバーは、町内会の神輿をかついでからの総会参加でした。
「蒔田公園」で7月に開催された「南まつり」のおり、会場で町内会長の杉山さんにお目にかかって、8月の祭りの際に、神輿の担ぎ手が足りず、神輿を出せない話を伺ったのです。果たして当日は揃いの半纏7名に、途中2名の飛び入り参加もあって、おおいに賑わい何よりも神輿を製作した石橋さん宅前で休憩、ということは「はまどま」前での休憩ということで総会準備の仲間も顔を出して記念撮影、町内に「はまどま」が溶け込めたようで、たいへんに盛り上がりました。
「NORAさんのおかげで久々に土曜日に神輿を出せた。楽しかったよ。」と、役員の方からも何度も感謝されて暑さも忘れる嬉しい日になりました。
28日には、和歌山県高野山に移住した山田さんと、高野山での町おこし活動のパートナー、尾家さんを囲む食事会を開くことができました。
この夏は、戦後65年、特に朝鮮併合100年が注目された8月でした。
「はまどま」があって良かった!と思えることが重なった夏でした。が、平和であればこその「はまどま」です。
サザンや桑田さんの音楽もまた。
(おもろ童子)