第149回 釜飯仲間・おこげのお話

2021.5.29
釜飯仲間・おこげのお話

「釜飯仲間」=おこげのお話=

国連「SDGs持続可能な開発目標2030年・家族農業の10年 2019年~2028年」
~みんなのしあわせは、おいしさの先に!~

2021年5月12日「みどりの食料システム戦略」が正式に決定されました。農林水産省による、2050年を目標とする「農業の環境負荷低減と生産基盤強化を目指す」政策方針です。

その内容は画期的なものとして、歴史に刻まれるべきものです。仮に、完全に実現できなかったとしても、実現に向けて努力を積み重ねていくことができたならば・・。いえ、いえ、子どもたちや、未来の人々のために、地球温暖化による人類の生存危機を食い止めるために、なんとしても実現しなければならないことだと思います。ただし、私たち、一市民が注意しなければならないことが、もっとはっきり言えば、ごまかされてはならないことがいっぱいある、とも思うのです。

 「農業の環境負荷低減と生産基盤強化を目指す」政策方針
■農林水産業の二酸化炭素排出量実質ゼロ
■有機農業を全農地の25%(100万ha)に拡大(※2018年は約2.3ha)
■化学農薬の使用量半減
■化学肥料の使用量三割減
■化石燃料を使わない園芸施設に完全移行

これらを実現する現場の担い手は生産者です。が、彼らの努力を一緒に支えなければ、今、多くの関係者が懸念している「絵にかいた餅」になるでしょう。誰が支えるのか?国・自治体・研究機関・企業・JA・流通販売業者・一般の消費者・教育機関・マスコミ・・・・。つまり、全国民レベルでこの目標を堅持し追及していかなければ、とても実現などできないと思うのです。何のために?繰り返しますが、子どもたちの未来、これから生まれてくる人々のためにです。

それほどの大運動を必要とすることなのに、マスコミの扱いが無さすぎるのではないでしょうか?「みどりの食料システム戦略」のことを知らない人が圧倒的に多いのではないでしょうか?

目標には「安全・安心な食糧生産」も「家族農業(漁業も)を基本とした持続可能な地域社会」も入っていないことにも注意しなければなりません。さらに「有機農業」とは、どのような農業を言うのか、私たちの知識は曖昧です。これからは、私たちの共通認識として「有機農業」を理解しなければならないと思います。国全体で農薬の使用量を半減することと、有機農地を広げることとは別次元の問題です。それが一緒になって提示されていることにも注意していきたいと思います。

前回「農薬使用量半減」の曖昧さを指摘しましたが、農水省は農業資材審議会農薬分科会を開き「化学農薬使用量」の定義案を示しました。単純な農薬の出荷量だけでなく、環境などへのリスクの大きさも勘案。しかし、その指標はないため、人の許容一日摂取量を基に係数を定め、有効成分ベースの農薬出荷量にかけ合わせて算出することにしたとのことです。

今後、環境負荷に対するリスク指標が確立されれば、係数として利用することも検討するとしています。私たちは、一日に摂取しても良いとされる農薬の量があることをあらためて認識しなければなりません。私たちは、一日に何種類もの野菜を食べますよね?でも、人によって好き嫌いもありますし、食べる量も違います。その総計に加えて、検査すれば必ず残留農薬が検出される輸入小麦を原料にした製品をはじめ、様々な加工食品にも囲まれています。

これからは、私たちは、専門的で理解困難な農薬のことについても、少しずつでも知識を持つようにしなければならないと思うのです。

「野菜市」の生産者の声を紹介します。

「JAが生産者に農薬を買わせるわけだけど、JAの職員が、もっと農薬のことを勉強してくれなければ困るよね。農薬の種類によって使い方が違うんだ。どの時期に使うか、とか使い方で最小限の散布にできるものもある。農薬の使用を減らすっていうのは、そういうところから始まるんじゃないかな」「農業の様々な技術を生産者に普及する機関として農業改良普及所があるんだけど、近頃は職員がデスクワークばかりで現場に出てこない。所長が現場に出ることを抑えているっていうんだ。心ある、能力のある職員がいなくなっていく。」

30代前半の独身女性の声です。

「どのような環境で食べものが作られて私たちの手に届くのか、10代など、若い世代になるほど、農業への意識、農産物への関心は高まっているのを感じます。地球温暖化やコロナ禍の問題とも関連しています。」

主な仕事が農業の「基幹的農業従事者数」が2020年2月1日現在136万3000人で、5年前と比べると39万4000人減っています。高齢化による離農が増加しています。(農水省)

(2021年5月27日記 三好 豊)

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三好 豊(みよしゆたか)

1954年に生まれ父親の転勤により各地で育ちました。

1975年10月、杉並区阿佐ヶ谷南の劇団展望に入団。1982年退団して横浜に戻り演劇活動に参加してきました。1987年5月、(有)神奈川農畜産物供給センターに入職し、県内各地、各部門の生産者に指導を受けることができました。2004年に退職し「神奈川・緑の劇場」と称して県内生産者限定の野菜の移動販売を始めました。NPO法人よこはま里山研究所・NORAの支援はたいへんに大きく、これからも都市の暮らしに里山を活かす活動の一環として生産者との関わりを大切にしたいと考えています。また(株)ファボリとその仲間たちとの繋がりには、心躍るものが生まれています。

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