第50回 花びら落ち、実から辿る親の姿

2021.3.31
映像の持つ力

ベランダの梅。落ちた実を土に植えたものだから、親株がどの梅か分からないままで6年ほど経ちました。

畑にある梅の実を植えたのですが、花は同じぐらい咲きますが、実つきが良い木と、実がまばらなものがあります。

やっと今年、親株がどちらなの梅であるか判明しました。
花びらが散った後に、ベランダでこんなに実を付けています。親の性質を継いで実つきが良い!!

思わず知らずの内に、自家採種でポイントになる優良な性質を選ぶ母本選抜が出来ていました。

 

果樹は「桃栗三年柿八年」の言葉があるように、実をつけるまで何年とかかりますので気の長い作業ですね。でも、果樹の日陰で椎茸の原木栽培をしたり、カラスが餌を食べるため枝にとまっていたり、野菜だけとは違う生き物が立ち寄り楽しいものです。

 

もう一つ、小さな森のある畑で、嬉しいお知らせがありました。
数年前にベランダから畑に移植した杏子の木に花が咲きました。一輪です。

 

ベランダのコンポストに入れた食べ残しのタネが発芽した杏子の木ですから、開花しないことはあり得ますが、花が咲くとうれしいですね。さて次は何年したら実をつけるのかしら?

 

わたしたちが週末に過ごしている、小さな森のある畑は、種がこぼれ自然生えの野草が多いです。
今はネギやイチゴの間に土筆があらわれ、ヨモギの新芽が畑の縁を覆いはじめました。

野菜も自然生えが多く日本一美味しい牛蒡と言われる大浦太ごぼうや、沖縄のシマチシャの子葉が、畝や通路のそこかしこで育っています。

 

室内では、いただいたアマリリスの花が咲きました。さっそく球根の種採りにチャレンジ。
受粉を媒介してくれる虫がいないため、人間が受粉のお手伝い。雄しべの花粉を雌しべの先端にパタパタ付けます。

 

受粉後、花粉から長い花粉管が胚珠に向かってのび胚珠で受精が行われるわけですが、アマリリスの雌しべは胚珠まで10cmもありますが、一体いくつの細胞が動いて胚珠まで到達するのでしょうか。

左が人工授粉したもの。受精のあと子房が成長しています。何日で胚珠に種が出来るのか。

右は受粉させていないため子房は成長せず花弁がしおれ始めています。この老化の合図で次の花を咲かせる蕾のついた茎が伸び始めるのかしら。

 

アマリリスは球根植物。種を蒔いても花を咲かせる大きさに球根が育つまでには5年ほどかかるそうです。

そのため種からではなく球根を太らせ子株で増やす方法が一般的。
花が終わると、養分は球根を大きくすることに再優先となる。

花茎に残る養分は種づくりに使わず、余すところなく球根に送りこみたいから、花が終わると花柄ごと取り除き、種づくりに養分が消費されることを防ぐ。

夏越しをさせ、葉の光合成がうまくいくと球根が太り秋に分球し、ようやく子株が増える。球根であれば一年のサイクルで増やすことが出来る。

ですが、我が家は種採りをしたい!
熱帯生まれのアマリリス。温暖湿潤気候の日本で種を採るとどのように生育することでしょう。

まず、開花と受粉、種子ができる、老化、次の蕾が伸びる。この生殖成長期に焦点をあて生育過程を観察したいと思います。

 

先月ご紹介したNHKの映像アーカイブに、アサガオの開花から種子になるまでの映像が公開されています。
雌しべ部分の断片映像もあり、これが興味津々です!!
種子になるときに発芽時の芽の形態がつくられている様子を観ることができます。(種子の中で双葉まで出来ているのかしら?)(※1)

 

どこにいても、生活の中で生きものから、自然の摂理を学ぶことができますね!

(中川美帆)

参考リンク

※1

NHK のホームページより
NHK for School 「アサガオ(開花から種子になるまで)」
https://www2.nhk.or.jp/school/movie/clip.cgi?das_id=D0005301535_00000

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