第49回 プラントオパール・イネ科の植物は石を作る?!

2021.2.27
映像の持つ力

ミツバチも春を見つけた

ベランダ里山で育つ梅の木。春告げ花は今年も咲いてくれました。
枝中で咲き揃い満開。タネから育て七年目、こんなに咲いたのは初めて!!

あたりに梅の香りが漂い・・。さっそくミツバチが来てくれましたよ。かわいい。
どうやって咲いた花をミツバチは見つけるのかしら。
鉢を覆う草も冬草から春草へ交代。

農閑期は、種の整理や果樹の剪定、加工品づくりなど細々とした作業が続きます。
その一つがヘチマ。食べられるだけでなく天然繊維が採れる一挙両得な野菜ですね。うちの食器洗いスポンジは自家製のヘチマタワシ。これから一年使えるだけのヘチマタワシは採れるかしら。

気がかりは、遅く熟した実のため繊維がしっかり出来ているか。
水に浸しておいたヘチマを取り出し、発酵した果肉を取り除きます。
うれしい。丈夫な繊維がとれました。今年はヘチマ製の靴の中敷き作りにチャレンジするかな。

 

畑でお花見

うちの花見は、畑の梅見で始まります。桜や杏子、スモモが咲く頃は、ノラ仕事が忙しくなってくるため、落ち着いて花見が出来るのは、この時期だけ。

さて、畑の梅は咲いているかな?
白梅と紅梅ともに、ぱらぱらと開花が始まっていました。翌週には枯れた花と咲き始めが同居している状態。
次々に開花!ではなく、枝ごとに、枝の中でも場所により開花の個体差が大きいことが観てとれます。

畑の周りでは、葉が白く枯れている柑橘の木を多く見ましたが、冬の寒さの影響だと言うこと。
暖かいベランダと違い、畑は寒風にさらされる厳しい環境ですものね。

 

畑での梅見を楽しみに下草刈り。
梅の花びらがひらめく梅の木の下でお茶会。寝ころびながら、ミツバチがいそがしく花々を移動するのを眺めよう。

モズの早にえを発見。ベランダも畑も、ともすると枯れてしまって何もないようにみえる時期ですが、いたって賑やかです。(※1)

 

椎茸も開花!

グミの枝の剪定中に椎茸をみつけました。寒いからこれ以上は大きくならないよね。

畑では原木で椎茸栽培もしています。

数年前に種駒を植えつけた榾木(ほだぎ)。
休養中の1月末、グミの木の根元に移動したところ、木の中で根付いていた種駒の菌子が芽吹き始めたのです。

1月末。榾木(ほだぎ)。グミの木の根元に移動すると、残っていた椎茸が花開き始めました。

日光や、水分の条件が変わり、菌が触発されたのかしら?。

木片は、なかなか分解されませんよね。
分解しにくいのはリグニンという成分のせい。

なんと、現在でも生物の中でリグニンを直接分解できるのは、唯一キノコの仲間だけと聞きました。

調べてみるとホームページにリグニンの分解酵素について解説がありました。
キノコが森の分解者と言われる所以なのですね。(※2)

 

【キノコが木を分解する仕組み(大雑把なまとめ)】

1)木の主な成分はセルロース、ヘミセルロース、リグニン。その一つのリグニンが木の細胞を守り天然の防腐作用をしいる。リグニンは原子の個数が多い高分子、微生物ではなかなか分解できない。

2)木材はキノコの栄養源。木材の細胞を守るリグニンを分解しセルロースを栄養源にして広がってゆく。

3)キノコはタンパク質を作りだしリグニンを分解できる特別な酵素を分泌して、リグニンを分解する。

 

ちなみに、紙のもともとの色は褐色。
この褐色は木の主成分リグニンの色だそうです。

わたしたちは、この色をとるために化学処理でリグニン色を分解。
それに対して、キノコは自ら酵素成分を分泌して分解。

キノコがこの作用を獲得するのにどれだけの月日を要したのでしょうか。
何という生態系のバランスなのでしょう!!!

椎茸は我が家の常備菜。野菜スープに必須の素材。
里山のキノコをはじめ命のいとなみの気の遠くなる時間をいただいているのですから、滋味ぶかい味わいになるわけですね。

 

野菜の力をいただく ~野菜が自分の身を守るために獲得した抗酸化力

野菜が持っている抗酸化物質。
その中でもポリフェノールやカロテノイドなどは、大量に増えるとガンや免疫機能の低下を引き起こす活性酸素を除去する強い抗酸化力を持っており、「ファイトケミカル」と呼ばれて注目されていますね。

先月のコラムで紹介した。光合成を通し稲の葉色の変化に作用したり、玄米の皮(糠)の色をつくっている主な成分、カロテノイド、アントシアニン、タンニンらも、「ファイトケミカル」。

このファイトケミカルの抗酸化作用は、ウィルスにも有効だと言うのです!
抗がん剤の世界的権威の前田浩博士は、著書「ウイルスにもガンにも野菜スープの力」で緊急提言されています。※

ウイルスにもガンにも野菜スープの力』著者:前田浩博士
ウィルス・がん研究の第一人者で、副作用のない抗がん剤研究で2016年ノーベル化学賞候補になる。熊本大学名誉教授。バイオダイナミックス研究所理事長。

ウィルスによる炎症やがんの病状の大きな要因になっている活性酸素を除去するにはどうすればよいか、長年に渡る炎症のメカニズムの研究の過程でたどり着いたのが野菜に含まれるファイトケミカルの機能性成分。

でも生野菜で食べてもファイトケミカルを十分に吸収出来ないのだそうです。
野菜の細胞は細胞壁に囲まれているから、野菜が持つ栄養や機能成分をいただくためには、細胞壁を破り外に出すことが必要になる。

そうなんです、一番の方法は煮込んで野菜スープにするなど加熱して頂くこと。
野菜の抗酸化成分は、加熱すると生よりも10-100倍に増えるのだそうです。

 

出しを取り味噌汁や煮物を始めとした野菜を調理して摂る日本食は理にかなっていたのですね。
野菜スープは滋味が体にしみますよね。免疫機能の正常化にも役立っていたのかぁ。
食事を気をつけることで、新型コロナウィルス対策が出来るのですから、うれしい話しですね!!

我が家の献立は野菜スープや調理した野菜が基本です。スープの出しにカツオ節やイリコ、手羽先を使ったり、胸肉の茹で鶏や、お惣菜を買う時もありますが、野菜など植物性の食材がメニューを占めます。(美味しいから)

 

もう1つ、毎日の生活で取り入れられる、コロナ渦を乗り越す対策の一つとして心強い本が2月に出版されました。『食こそ最高の薬になる』著者:成田和子。

“食はとり方で、薬にも不調にもなる。” 「薬となる食」について、書かれた本です。詳しくは来月のコラムで紹介しますネ。

『食こそ最高の薬になる』著者:成田和子
35年にわたり、健康管理士一般指導員として慢性病に悩む高齢者から働き世代まで、その人の食歴をもとに “薬となる食”をアドバイス。
食改善アドバイザー。ゆうわ生活主宰。厚生労働省認定健康管理士一般指導員、薬膳セラピスト、心理カウンセラー

 

 

植物は石を作ることができるの?!

田んぼでお米をつくっている方は経験したことがあると思いますが、うかつに稲の中に顔を近づけて作業をすると、その時はたいして痛くはないのですが、後から顔に刃物あとのような切り傷ができます。

それほど稲やマコモダケの葉は鋭いという事なのでしょうが、この鋭さを作り出している元にイネ科の植物がつくるプラントオパールが関係しているようです。

田んぼは、今月の4月に水路の溝を掘り、来月種籾を蒔き苗代を作に入ります。今年は光合成に加え植物の宝石、プランとオパールにも注目していきたいと思います。

プラントオパールについては、NHKの映像アーカイブがありますので、ぜひご覧ください。(※3)

 

稲は他に、稲魂さまと呼ばれる「稲麹」も作り出します。うちの田んぼでも去年稲麹がとれました。
お味噌を作るときの麹菌として稲麹を使いたいとことですが、麹菌を培養する時間がなく保管しているだけ。いつか稲麹を使いお味噌を作りたいものです。

稲麹

 

研究が進むことで、食べ物は体の骨格や筋肉を作る栄養だけでなく、ファイトケミカルが免疫機能に有効であることなど、人の生命維持に関わる機能に働きかける成分が含まれる事が、判明してきていますね。

人間も自然の一部。人間が健やかに過ごす秘訣は自然の摂理に沿う暮らしにあるのでしょう。
ノラ仕事はそれを体感できる貴重な機会ですね。
ベランダのプランターも冬草から春草へ移行しています。

(中川美帆)

 

参考リンク

※1: 大阪市立大学のホームページより
「モズの『はやにえ』の機能をついに解明!―はやにえを食べたモズの雄は、歌が上手になり雌にモテる―」
https://www.osaka-cu.ac.jp/ja/news/2019/190513

※2:岐阜森林研究所ホームページより
「木の分解をたすけるキノコのリグニン分解酵素
(岐阜県森林科学研究所)上辻久敏」
https://www.forest.rd.pref.gifu.lg.jp/rd/shigen/05042gr.html

※3: NHK のホームページより
NHK for School ミクロワールド「植物の宝石 プラントオパール」
https://www2.nhk.or.jp/school/movie/bangumi.cgi?das_id=D0005100112_00000

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