釜飯仲間

第5回 釜飯仲間 おこげのお話

2009.4.1
神奈川・緑の劇場

月がはまどまを照らしている。
沖縄では、浜辺や森は神を迎える神聖な場所。そこに立つ男女を月は照らし、見守っている。

「はまどま」は「里山の入口」。だが「はまどま」は自然に囲まれてはいない。
それでも築51年の大和ビル119号室「はまどま」に、「里山」を感じ始めている。
「里山」って何だろう?

月明かりの夜。「はまどま」の前に立つ。通りすぎる風が心地良い。

大和ビルができる前、ここにはアメリカ軍のカマボコ兵舎が建っていた。
アメリカ軍が来る前は?
アメリカ軍が落とした焼夷弾で焼け野原。
昭和20年(1945年)5月29日の朝から始まった空襲で、昼前には蒔田、井土ヶ谷、桜木町、関内にかけての一帯と横浜駅周辺が焼き尽くされ…。

たくさんの人の暮らし。
日本中からヨコハマに集まって根を下ろし、家族を持ち、街を作ってきた人々の暮らし。
「はまどま」のある場所も焼き尽くされた。

そんな、横浜の歴史、南区の歴史を歩んできた女性を「はまどま」に迎えた。
今年90才になるたかよさんが「はまどま」でモツ煮を教えてくれたのだ。
結婚してから何十年もず~っと作り続けているモツ煮!
旦那さんを笑顔にしてきたモツ煮!
コトコトコトコト煮込んだ味は、たかよさんと横浜の歩んできた味。
いつか「はまどま」の味に引き継いでいこう。

火曜日のNORA野菜市。
赤ちゃんをおんぶしたお母さん。自転車の後ろには
可愛い絵のついた大きなヘルメットをかぶった「ヘルメット坊や」。
野菜市を楽しみにしてくれる、かわいいお客様。
野菜を選ぶお母さんそっちのけで、野菜を計りに乗せる姿を、
電卓をたたく手元をじっと見つめている。
お客さんがきてぶつかりそうになっても、じっと見つめている。
坊やの目線は「憧れ」。
始まったばかりの坊やの歴史を、満月が照らしていた。

(おもろ童子)

はまどま https://nora-yokohama.org/mura/hamadoma/

NORA野菜市 https://nora-yokohama.org/news/pj_kokuchi/norain_1.html