第40回 花びらがない開花?!
2020.6.1映像の持つ力
花びらのない花。
ただいま、リモートワークのため、週末の野良セカンドハウスが、暮らしの中心になっています。5月に入り種下ろしや育苗が本格化。ベランダ里山は、所狭しと段々畑状に苗や果樹でいっぱいです。
ベランダのスペースの半分ほどに、梅、楓、サルナシ、スモモ、プラムなどの果樹があります。5月に入り花を咲かせたのがブドウ。種類はワインによく使われるマスカットベリーA。
今年は、小さな小さな2ミリもないブドウの花の開花行動のひとコマを発見しました。ブドウの花は、この一粒が開いたときが開花。開くといっても、花びら状に1枚1枚弁が開いていくのではなく、蕾の真ん中がぱかっと割れて落ちた状態が開花。そうです、ぶどうは花びらがない開花。(花粉を風に運ばせ受粉する風媒花)
その様子は、まるで蕾の中に折りたたまれた雌しべと雄しべが、一斉に頭にのった帽子を押し出したようです。だから、ぶどうの開花の時期には、木の下に帽子みたいものがぼろぽろと落ちています。こちらの形状の方が花びらに見えますネ。
▼ 落花生の出芽。折りたたまれた情報が順序とおりに開いていきます。
順序、時間、開く方向・・。
いったいDNDに、どのように記憶されているのかしら?
ぶどうのフェノロジー。
そう言えば、ぶどうの開花から結実までフェノロジーはどうなっているのだろう? 生態や成り立ちを調べたい時の、お助けは農文協刊行の「そだててあそぼう」シリーズ。
「そだててあそぼう45 ぶどうの絵本」によると、開花は5-6月の下旬で、気温がよく天気のよい日に結実するとのこと。
ぶどうの花は一房に少なくて200個、多くて1000個も咲くのです。ただいま、ベランダのぶどうは結実中。
梅雨の時期を前に、真夏日和と、寒い雨の日、蒸し暑い日が混在していますが、ブドウは豊作と行くでしょうか。昨年はお試しで赤ワインを作りましたが、今年は無事に葡萄が採れたら何を作ろうかしら。
稲の成長と気温
田んぼもいよいよ種まきの季節。4月26日に苗代をつくりました。蒔いたのは4品種、朝日、初霜、チベット黒米に加え、雑誌「現代農業」のタネ交換で頂いた紅染め。昨年、正月飾りの稲に使った緑米は観察用にベランダでバケツ稲で育てることにしました。
4月に気温が上がらなかったため、4月初旬から中旬にタネを蒔いた仲間の苗代の芽吹きは、私たちの苗代とほぼ一緒でした。種の芽吹き時期に温度の影響は大きいですね。
田んぼの苗代は、種まきから4週間ほどが経ち、無事に種もみの一粒から一本立ちへと成長。鳥よけの網をはずし草取りをして、来月の田植えを待つばかりです。
赤い実が揃いました
畑の収穫祭り。春の楽しみ。イチゴ、ユスラウメ、サワーチェリーに加え、今年はラディッシュも採れました。みんなとっても色鮮やかな赤い果実。心うきうき、目を楽しませてくれます。
熟成が進んでいたイチゴはジャムに加工。お手製のヨーグルトや塩豆腐と合わせてフィンガーフードに。ベランダ里山を眺めながらのランチタイム♡。緑の近くでも仕事ができる。リモートワークの良いところですね!
こうして野良しごとをしていると現代人の暮らしが、これから先の季節にどのような影響を与えるか心配になります。
先人の暮らしにある年中行事をフェノロジーの視点でみると、人間を含めた生き物は四季を通し常に一定の法則で変化していると言えます。
現代人の暮らしは、海外から物資を輸入することで成立しています。近代まで連綿と続けられてきた先人の暮らしは、フェノロジーを活かすことで、里山の循環の仕組みをつくりだし生活を持続させて来たのしょう。
人間も自然の一部ですものね。
(中川美帆)