第38回 キンランの芽生えと里山のバランス

2020.4.2
映像の持つ力

この可憐なキンラン、お隣にある森で芽生え始めています。花が楽しめるのは4月にってから。
キンランは、かつては、人の手が適度に入る里山の雑木林でよく見られた花ですが
環境省の絶滅のおそれのある野生生物の種のリスト(レッドリスト)に指定されています。

 

そんな貴重な生物だから、ひっそり、1本、2本と咲くかと思いきや、
うかうかしていると、いつの間にか下草の合間で群れになるほどたくさんの花を
咲かせてくれるのです。新宿から電車で30分もしない場所なのですヨ。

一帯に、キンランとギンランが咲きます

 

コガネグモが生息する場所は生物多様性が豊かだと言われますが、
キンランは豊かな生物多様性が保全されている里山の象徴のひとつ。
ポイントは土の中の菌。キンランだけに(笑)。

キンラン見えるかな?

 

土の中に、植物の根と共生する菌根菌がいて、
キンランはクヌギやコナラの根で生きるラン菌(菌根菌)から栄養をもらい、
菌根金はクヌギやコナラが栄養を吸収するのを助けて成長を促すといった
(キンラン ⇆ 樹木 ⇆ 菌⇆)の三者間での共生のバランスで生きているのだそうです。
だからキンランを他の場所に植え替えても育たない。

浦島草もいます

 

人の手が入ることで、生物多様性が豊かになる、人と自然が共生する場所を里山と呼びますが、
キンランはうっそうとした森ではなく、人が手を入れることで適度に日のあたる場所に芽を出してくれる。
だからこの生態系のバランスに人の営みも入っているのですね。

数年前までこの森でも、キンラン・ギンランを見かけなくなっていたのですが、
ボランティアの方が草刈りをしたり、足で踏まないように囲いをしたり、
手入れしているから、またキンランが芽吹いてくれるようになりました。

春の朝は、キンラン・ギンランが顔を出す森の横を通り過ぎ満員電車へと急ぎます。

・・・・・

 

  

うちのベランダ里山は、春に入り草が増え、枝打ちした枝が土や草と小慣れてきて
ぐんぐんバランスが出来てきたように感じます。
芽吹きの春は、森をあるくのもきもちいいけど、ベランダのプランターで
にぎわい出す小さな森を眺めるも好きだなぁ。

田んぼでは、今年も「マドジョウ」に会えるかしら。

(中川美帆)

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