第33回 空めざし土を這うかずら草

2019.11.1
映像の持つ力

最古の栽培植物の一つ「ひょうたん」。わたしたちが週末に過ごす〝小さな森のある畑〟では、ヘチマと一緒に連なるアーチの中でぐんぐん蔓をのばし鈴なりに育っていました。

  
この畑のある地域、せんじつの台風19号では警戒レベルが5。畑に土が流れてきているかも・・。そんな不安の中で朝を迎え、きのうとは打って変わり真夏を思わせる青空に戸惑いながら畑へ向かいました。

えっ。何かちがう・・。畑に新しい景色をつくってくれたヘチマとヒョウタンのアーチは?!。
あああ、なんてこと、倒れてるー。あゆみ寄ると、ぐしゃっと隣のオクラにもたれ懸かり、蔓やら葉っぱが絡まりあっている。アーチの支柱が見えないよー。ヘチマ、ひょうたんは何処に?。


コンニャクも倒れてる。アーチの畝をたどると・・

あ、ヘチマがいた!。この前まで青い空を背に実ってたヘチマが、葉っぱの中で横たわってる。
眠れる森の美女みたいじゃないかぁ。(ToT)


うーん。支柱は折れ幾重にもからんだ蔓をほどく? いやー。もうこんがらがり手がつけられない。
下手にさわると蔓が切れてしまうから、このままにして置こう。

そう!まだこうして花は空に向かって咲いてる。葉も青々と生い茂っているネ。


ほら、ひょうたんも生きてる。ありがとう。強風や豪雨のなか健気に耐えてくれて。
週末だけのノラしごとのわたしでも気の長い時間をかけて育ってくれた田畑がどうなってしまうのか、想像しただけでいたたまれない気持ちでした。なおさら、お百姓さん、農家のみなさんのお気持ちはいかばかりだったでしょうか。


空に向かいツルを伸ばしたカズラ草は、野分のあと地這いヘチマ・ひょうたんになりました。(眠れる森のヘチマ見えるかな)
こちらは、ムカゴアーチで育つヘチマ。支柱の向きが違ったせいか倒れませんでした。
空をめざして進む>> 土を這う >>  2つのかずら草。どんなふうに育つのか、観察はじまりです!

 

こちらもツルが「地這い」のさつま芋。こぼれ種から芽を出した、エゴマやケツメイシに囲まれていますがいたって元気。左下は山わさび・ホースラデッシュ。地中でぐんぐん株が育っています。

 

〝小さな森のある畑〟は、畑の外枠にホースラデッシュをデザイン中。隣の畑との境目にもせっせと移植しています。じつは猛暑のあとの草刈りで、野生化したものだと思い葉に鎌を入れ緑肥にしてしまったのでした。わざわざ植え替えたことを聞き猛反省したが遅いよね。でもホースラディッシュは強いのです。次に来た時には、こうしてまた新しい葉を広げ土中でも根茎が成長中。

ケツメイシ

菊芋。黄色い花が映えるネ。

台風後の見回りと補修が続きます。

あれ、草の根元に赤い実を見つけた!わたしも地面を這い草をかき分けると・・・

こぼれ種から芽を出した雑草トマトでした。台風のあとでさらに、草が何層にもおおいかぶさった下で真っ赤に熟していた。採れどきだったのかしら、どれも輪郭がはっきりしてきれいな形。こんな土の近くでナメクジの跡もない。虫たちも避難してたかナ。修復から収穫へチェンジ。

クコはこれから実を結びます。

野分あとの朝は栗拾い。駐車場の隣に実った栗を風が運んでくれます。

畑のあとは田んぼへ。雨の中に台風で飛んだり破けたりしないよう畳んだ鳥よけネットを張り直し。ぬかるんだ泥田に足を取られながら、収穫を間近にひかえた稲の根を傷つけないように進む。

それにしても日差しが容赦ないほど強い日だったなぁ。日ごとにガラッとお天気が変わる異常気象は新米の週末ノラ暮らしの身にこたえる。(T ^ T)
植物も虫も社会生活が加速度的に変化した昭和30年代以降、ずっと勘弁してよぉのサインを出していたよね。ごめんなさい。それなのにきょうも恵みを与えてくれる。この土壌を残してくれた先ぱい方に頭が下がります。

(中川美帆)

11/25(月)はまどまシアター
東秩父「埼玉の木地師」(1990年/40分)を観ますヨ。
撮影地:埼玉県秩父市/秩父郡両神村・ 大滝村・小鹿野町

今回のはまどま劇場で行う上映会は木地師の技術と信仰の記録です。
埼玉県秩父地方にも、山に暮らす木地師がいた。両神村の小椋弥市さんは そのひとり。弥市さんの木鉢作りを中心にした木地師の技術と信仰の記録。

<作品の内容>
木地師は日本全国どこの山でも、8 合目以上の木を自由 に伐って、木地物を 作ることをゆるされていた。それを示 す文書も伝えられている。昭和 30 年代まで全国の山々には 木地師が多く生活していた。お椀や盆をつくり問屋に卸し漆塗りの漆器として日常生活の器を提供していたのである。

詳しくはこちらを。

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