第32回 野分晴のあと栗またひとつ
2019.10.1映像の持つ力
週末は「小さな森のある畑」でノラ仕事。まず始めに畑全体を観てまわります。キュウリも終わりかなぁと思いながら草をかき分け蔓の整頓。9月に入り朝晩の風や、夜になり響く虫の音に秋を感じるようになりましたが、残暑の暑さが効いているのか、まだまだキュウリは育っています。猛暑のように採れすぎないのがちょうど良い。
次はカボチャ。縦に横に畝を越えて蔓を伸ばしているから蔓を踏まないよう足元に注意しカボチャの元へ移動。草をかき分け見ると・・なんともう1つカボチャが実ってました。ヘタがコルク状になっているのは熟したサイン。横にある水みずしいのがいつの間にか生っていたカボチャです。
ノラ作業の前の観察はまるで宝探し!! 一つの畝にはいろんな種類の野菜を植えていることに加え、あいだを埋めるように草が茂っている。ケツメイシやエゴマや赤シソは野生化してそこかしこに群生しています。手作業で週末だけの自然農。手が届かないことが多いから、わたしたちが気づかないところでも野菜は実り、色や景色も変わる。畑中にしみじみとした味わいが満たしています。
今年は棚に植えたヘチマとヒョウタンが、畑に新しい景色をつくってくれました。
残暑が勢いをつけたのか、次々花が咲きヘチマが鈴なりです。ヘチマは食用ではなくタワシにします。今年はわたしが担当。どれくらい作れるかしら。
ヘチマタワシも植物加工の基本、水に浸けおき果肉部分を腐らせ線維だけ残す。無農薬、無肥料で作った天然素材のスポンジ、使ったあとは土に還るのがウレシイですね。今後さらに作る人が増えそう。
「稲はワラが欲しいから作る」「竹さえあれば生きていける」食べるだけではなく、道具や身の回りの日用品や雑貨まで、自分の手で作り出し生きてきた先輩たちの言葉。
里山は「人間の影響を受けた生態系が存在する山をいう」と定義されていますが、「山」は周囲よりも高く盛り上がった地形や場所のことを指すのだから、土を盛った畑の畝やプランターも広い意味で里山ではないですか!
消費者が増えた現代の暮らしにも、土を通してわたしたちの足元には、“人間も自然の一部” を体得した先輩たちと暮らしの知恵がいっぱいですネ ♡
(中川美帆)