釜飯仲間

第76回 釜飯仲間・おこげのお話

2015.2.28
神奈川・緑の劇場

『サンダル履きで買い物に行ける直売所を、もっともっとヨコハマに!』

大山登山の入り口、伊勢原市には、地元のJA伊勢原が運営する直売所が6か所あります。そのうちのひとつ、国道246号線沿いの比々多直売所は、今のような「地産地消」ブームになる以前、全国的に直売所ができるようになる以前ですから、もう20年も前になるでしょうか、直売所としての売り上げ全国トップと言われていました。

もう1か所、小田急小田原線「伊勢原」駅に近い、JA伊勢原・本所直売所の2か所は、大山の別名「阿夫利山」から命名した愛称「あふり~な」としてリニューアルオープンしたばかり。

ところが残りの4か所のうち3か所は、従来の営業時間、午後5時までを、3月1日から大幅に短縮して、午前8時30分~正午までとすることになりました。

この10年、県内各地に大型直売所が開設され、観光バスのコースにもなるなど、大賑わいを見せる一方で、従来から地域の生産者と住民の、日々の暮らしに密着して歩んできた小規模直売所が、規模縮小、閉店となっているのです。(横浜の平野フキさんたちも直売所を閉じたことも記憶に新しいですね。)

伊勢原の、もう1か所、高部屋直売所は、かろうじて午後3時までの営業時間となりました。この「高部屋直売所」も、地域の生産者と住民がコツコツと育ててきた、「地域の宝物」と言っても良い直売所のひとつなのです。

かつて、行政からはもちろん、JA(当時は農協)からさえも、バックアップがあるわけでもなく、それどころか”直売”などは分派行為として疎まれていた時代、1970年代後半~80年代前半に、当時の若い後継農業青年たちが力を合わせて立ち上げ、育ててきた直売所です。

今では、規模は小さくても出荷する生産者は”名人上手”のベテラン揃い、販売スタッフも、生産者とも、お客様とも気心が知れ、農産物にも明るい皆さんです。

しかし、生産者自身の高齢化、後継の担い手不足に加え、地域住民も高齢化して購買力の低下が進み、時間短縮を決断したというわけです。

この、コンビニエンスストアの3割程度の店舗面積の高部屋直売所が横浜・南区にあったなら、どうでしょう? 南区の皆さんは大喜びでしょうし、とてもとても生産量が追いつかず、増産と担い手育成に、伊勢原でも力が入ることは確実ではないでしょうか?

JA横浜は、大型直売所を開設する計画はなく、小型の直売所「メルカート」を各地に開設してきました。同時に、大手スーパーの野菜売り場面積の5%を限度として「はまなちゃん」「はまっ子」ブランドの野菜を、市内生産者から集荷して納入し、地産地消に貢献してきました。

さらに、JA間提携で、例えば「JA伊勢原・横浜共同直売所」を開設してはどうでしょう?Aコープが、その役割を果たしているということでしょうか?

今回は、この話はここまでとしておきます。が、10年以上前から思っているのです。

JAだけでなく、行政・自治体も、県内過密地域と”過疎”地域の提携をすすめられないものか、と。
なぜならば、個人・民間の努力には限界があり、50年・100年先を見通した継続した取組みのためには、JAや自治体のフォローも必要だと思うのです。

NORAでも、「里山に学び、里山を都会の暮らしに活かす」取組みを進めていこうとしています。それが、私たちの未来にとって、とても大切で必要なことだと考えるからです。

当面は、「高部屋直売所・よこはま出張所」の趣きで、珠玉の農産物を「NORA野菜市」などでご利用いただきましょう。どうぞ、探し出してみて下さいね。

あーっ。「NORA野菜市」が、お客様が引きもきらず、ではないのは、まったく別の理由によるものです。

はい、念のため・・・。

(おもろ童子2015/02/28記)