第121回 田んぼ、やめる?

2018.9.29
いしだのおじさんの田園都市生活

また、雨、まだ、雨。そして、台風。
・困るよ。それてくれよ。俺の心にも降っているよ。
ダサッ!
・「たどりついたらいつも雨降り」、むっかしバンドで歌っていた。
ダサーァ!
・アレは、歌うと元気が出る。
、、、
・とにかく、この天気は気が滅入る。
そうだね。洗濯物乾かないし。
・(そこかよ)刈って干してある稲だよ、問題は、、、
乾かない。
・あまりに降ってばかりだと傷む。
あらら。
・穂発芽、って言ってね。気温もあると発芽してしまうこともある。
そうなると?
・かなり、やばいよ。食べられなくなる可能性もある。
イヤな雨だね、つくづく。
・降ってほしった時には降らなかった。
いつのこと?
・花掛水のころ。

・穂が出て花が咲くころはたっぷりの水が必要なのに。
ぜんぜん降らなかったね。8月は、、、
・7月も降らなかったよ。干ばつだよ。
ヒドイね。
・豪雨災害で大変な地方もありながら、、、
自然ってやつは、、、
・嘆いてもしょうがないんだけどね。
自分がコントロールできるところで努力せよ、でしょ。
・でも、天気が悪いと、自分の気持ちがコントロールできない。
悪循環。
・眠れなくなる。光合成しないと、俺も、、、
呑んで寝てるじゃん。
・夜中に起きたり、不安定になるんだよ。
そうなんだ、、、
・稲刈りの前ころは、もう田んぼをやめようかって思っていた。
あらら。石ちゃんらしくない。
・うん。
どうして?そんな、、、
・雨が降らなくて、稲の調子が良くない。かわいそう。
でも、実ってはいるんでしょ。
・ま、ね。忙しいのもあって、草取りも不十分。
確かにかわいそうだね、稲が。
・そうだよ、ネグレクト、だよ。
でも、育ててはいるわけでしょ。
・まぁ、そうだね。
やめられちゃったら、もっとかわいそうでしょ。稲が。
・そういう考え方もあるか。
稲がかわいそうというより、田んぼがかわいそう。
・うん。
もしも、やめたら、どうするの?田んぼは?
・埋める。
キャーッ。
・わー。なんだよ。
どうなるの?カエルとか、、、
・うんん、、、
かわいそう、過ぎるじゃん。
・ま、実際はやめないし、埋めないけど、、、
多くの人がそういう選択をしているんだよね。
・田んぼを作らないと食えなかった、が、田んぼを作っていても、つーか、田んぼを作っていたんでは食えない。
職業選択の自由。
・そう。そうなんだよ。俺たちも田んぼはかなりの赤字で、、、
もっと稼げる仕事がある。
・うん、昨日は駐車場で1日中刈り払い機を回していた。
利用者さんは?
・せっせと草を集めて掃除だよ。
稼げる?
・昨日は〇万円だから、、、えっと、米100㎏分だね。
えー、それなら毎日駐車場でしょ。
・なんだよ。カエルがかわいそうとか言いながら。
そっか。
・それにあの田んぼの米がウマい、って、食べているじゃん。
そっか、そっか、、、
・稼ぎに流され過ぎだよ。
うーん。でもねぇ。1日で米100㎏、、、
・でも、駐車場と田んぼを風景として環境として比べたら、、、
そうだね。田んぼにいたほうが楽しい?
・それを言っちゃあ、だけど、ね。
利用者さんはどうなの?
・まぁ、どっちでも頑張るし、稼ぎの話はしないし、、、
比べたりしない?
・いや、そういうことを考える人もいるよ。でもね。
どっちも頑張るんだ。
・そうだね。見習いたい、、、
うん。
・あとは、組織的問題、かな?
一致団結できていない?
・一致団結はキライなんだけどね、俺は。
知ってるけど。
・サスティナブルな組織になっていない。
は?で、どーするの?
・うん、、、
煮え切らないわけだ。
・でもね。稲刈りは楽しかった。
参加してくれた人たちもあった。いつものKさん。
・うん。子どもたちの参加が一番うれしい。森の自主保育の親子。
かわいいよね。
・手伝ったり、遊んだり、まっすぐだよね。楽しんでいる。
うじうじ言っている石ちゃんとはチガウ。
・そうだね。田植えや草取りも参加してくれた仲間だよね。
泥まみれの写真もあったね。
・あれは、嬉しかったね。
石ちゃんもやりたいんでしょ。
・そうだね。泥はいいよー。
へんなオヤジ。
・あと、利用者さん。
頑張った?
・うん。あれ、この人、こんなにできたっけ?みたいな、ね。
何が?
・刈るのが上手な人もいれば、結わくのが上手な人もいる。
そうなんだ。
・去年は泥を拒否していた人も、今年は自然と参加できた。
へぇー。泥が嫌いな子もいるんだ?
・そりゃそーでしょ。いるよ。感覚過敏は多いよ。
じゃあ、普段の畑もダメなんじゃない?
・畑は大丈夫なんだけど、田んぼ。水の入っている田んぼがダメ。
へぇー。
・足が泥に埋まって見えなくなることに恐怖を感じるみたい。
そーなんだ。いろいろだね。
・いろいろだよ。でも、今回は少々水が残っていても稲刈りはOKだった。
上手?
・やれば上手なんだよ。なのに、去年までは田んぼそのものがNGだった。
上手なことがない人も?
・うん。もちろん。それは織り込み済み。ははは。
ははは。
・でもね、3日も4日もやっていると、キレイな役割分担。
へぇー。
・刈る人、結わく人、運ぶ人、掛ける人。
うん、うん。
・ああ、いいなぁ、って思う瞬間がある。
それは、よかった。
・やっぱり田んぼをやっていてヨカッタなと、、、
思える?
・うん。ここにはタカラモノがあるなと。
ふぅん。
・お米だけではないタカラモノって言うんだよ。
前にも聞いたかな?
・それに、田んぼは地域にとってのタカラモノ。
うん。みんなのもの。
・ずっと、ゆっくりと稲刈りしていたかったくらい楽しかった。
へぇー。
・でも、基本、業務効率化を考えちゃう。どうしても。
それが仕事だもんねぇ。
・業務効率化、生産性、稼ぎなどなど、もう潜在意識化していて、、、
すると、、、
・田んぼをやめよう、なんて気分に流される。
でも、続ける。んでしょ?
・うん。
煮え切らない。
・ここのところをどう評価するか、いや、評価してもらうか、、、
頑張れ!
・う、うん。

(煮え切らない57歳 石田周一)

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