第108回「戦争を知らない子供たち」

2017.8.30
いしだのおじさんの田園都市生活

 

畑はどう?ですか?

・7月は干ばつ、8月は長雨と日照不足、そして、、、もうすぐ台風。

いろいろ、たいへんですね。

・天を恨んでも仕方ないんだけど、ね。

うん。

・自分たちでコントロールできる部分で頑張るしかないんだよ、人生、、、

ご苦労様です。

・9月末には稲刈りだよ。

天気がいいといいね。

・去年はズブズブ田んぼになっちゃって、苦労したんだよ。

今年は?どうなる?

・冬の間に排水の溝を作るなどしておいたんだ。

そんなことするんだ。

・効果が出るかは、ハテナだけど、いや、必要ない天気だとイチバンだよ。

なるほど、、、どっちにしてもご苦労様です。

・今年は作柄が良くないみたいで、なんかテンション下がっちゃうけど、、、

そうなんだ。

・東北とかもよくないみたいだよ。場所によっては。

不作だと値上がりするんじゃない?

・ま、米が値上がりしたって、たいした出費じゃないと思うけど、、、個々の家庭では。

そう言うけどねぇ、、、

・それより、不作になった農家の方が大変だよ。

それはぁ、、、そうかぁ、、、

・米が1割2割値上がりするのと、給料が1割2割減るのとでは、どうよ?

給料が減ったら絶対困る。

・農家にとって米が不作というのは給料が減るのと同じだぜ。

そうかぁ、、、

・天候が不順だと苦労が増えて収入は減る。残業が増えて、でも手当が出ない感じ?

ありえない。

・気分も落ち込むよね。

ご苦労様です。はい。

・ところで、、、「戦争を知らない子供たち」って、知ってる?

知ってるよ。

・へぇー、知ってるんだぁ、古い歌だけど、、、

なんとなく、だけどね。

・歌える?

「戦争を知らないー、子―どーもたちぃ、さぁあー♪」でしょ?

・へぇー!やんややんや!

バーカ

・じゃあ、最初から、全部歌える?

もう、いいよぉ。

・「髪の毛が長いとぉ♪、許されないならぁ~♪」

だはっ、なんのこと?

・俺の行っていた中学は髪の毛長くてもOKだった。

ハハハ。今は、見る影もない、、、ハハハ

・俺がね、中2でギターいじりだして、最初に弾きながら歌った曲だよ。

へぇー、ダサっ。

・団地に住んでいてさ、窓開けて練習していた。ボロロン、って。

きゃー、ダサすぎ。

・ま、今だったら近所迷惑だよね。

今の石ちゃんがやったら、タイホ。

・そこまで言うかぁ?

で、なんの話?

・うん。8月が終わろうとしている、から、戦争の話。

コワいよね。ミサイル。

・うん、うん。現実にミサイルが飛んでいて、普通の8月じゃない感じ。

・広島、長崎、敗戦の日が、なんか、かすんじゃうような、、、

そーかなー?

・核兵器禁止条約もあったけど、着実に戦争の準備をしているヤベー男がソーリ。

ヤベーソーリ?

・で、ね、なぜか「戦争を知らない子供たち」を思い出したんだよ。頭の中でリフレイン。

よく、わかりません。

・親父はね。

頼房さん?

・うん。「戦争を知らない」なんて言うのはオカシイ、イカン!遺憾!と言うわけだ。

・戦争の惨禍を風化させるな、歴史の教訓を学べ、と、、、

うん。そうなんだ。

・「戦争を知らない」などと高らかに歌うな、と。

うん。

・ベトナム戦争しかり、世界にははっきり戦争が現実としてあるじゃないか、と。

うん。

・日本にアメリカの基地があって、実は人殺しに加担しているじゃないか、と。

うん。

・まぁ、親父のユートーリなんだけど、、、俺はギターの練習がしたいわけで、、、

、、、

・親父、昭和7年生まれで、戦争中は中学生。

うん。

・身内に死者はなかったけど、それなりの戦争体験があったみたいだからね。

そうなんだ。

・機銃掃射で危うくやられそうだった、とか、、、

ええーっ、ご無事でよかった。石ちゃんが生まれなかったかもしれない。

・あれはね、最初に弾が飛んできて、それから音して、飛行機が見えるのは最後。

そうなんだぁ、、、

・東京大空襲も目撃したんだって。

コワいね。

・それがさ、親父が何度か言っていたのは、

10万以上の人たちが焼かれて苦しんでいたんだから、

こんなことを言ったら、不謹慎だと思うんだけど、と言いながら、

あれは、この世のものとは思えない不気味な美しさだった、って、言うんだよ。

ええぇーっ???

・吉祥寺に住んでいて、ちょうど下町に焼夷弾を落とすB29が真上に見えて、

炎がその無数の爆撃機の腹(機体)にオレンジ色に反射していたんだって、、、

そうなんだぁ、、、

・そのとき、親父はちゃんと軍国少年で、日本が勝つと信じていて、、、

うーん。でも、だからか、お父さんは戦争が大嫌いだったでしょ。

・戦争も嫌い、軍隊も嫌い、天皇制も嫌い、アメリカも嫌い、、、

アメリカもね、、、

・うん。俺が星条旗のデザインのバッジとかしていたら、取り上げられた。

ええぇーっ???

・いや、一方的に取り上げたんじゃなく、ちゃんと説明というか、説教をされた。

あらら、我が家にもあるじゃん。シャツとか、、、

・ま、俺は、取り上げないけどね。

うん。

・でも、星条旗にイタメツケラレた人が無数にいることは、知っておいてもいい。

はぁ、、、そうですか。

・そして、日の丸にも、、、

、、、

・親父、学校に配属されていた将校にムチャクチャぶん殴られたこともあったそうで、

えええ、なんでぇ?

・それが、御真影への礼が足りないという理由だったそうで、、、

ゴシンエイ、って何だっけ?

・俺も見たことはないけど、箱かなんかにさるお方の写真が入っていて、ね。

ああ。

・国民はそれにひれ伏さないといけないわけ。

北朝鮮みたい。

・まさに、、、だから、か?日の丸も、天皇制も、デェキレェだった。

そうかぁ、、、

・そして、「戦争を知らない子供たち」なんて歌うのはイカン!遺憾!なんだよ。

うーん。酷いめにあった人の前で、「知らない」などと言うな、ってこと?

・そういうことだろうね。でもね。

でもね、ですか?

・戦争の惨禍を風化させないようにと、言い続けることだけがいいのかなぁ?

・むしろ、いい形で風化させるという発想はどうだろう?

またまたぁ、、、オカシイなこと、言っている。

・でもね、もしも、仮に今現在核兵器が廃絶されていたとしたら?

ゼロ?

・うん。もう核戦争の心配がない世の中になっている、と、したら、、、

夢みたいな話。

・もし、そうなら、もう広島長崎は歴史として学びつつも、ゆっくり風化しても、、、

現実はそうじゃないよね。

・被爆者の方は「核兵器があるうちは死んでも死にきれない」と。

被爆者の方たちに悲しい思いをさせ続けている現実がある。

・ヤベーソーリの国は核兵器禁止条約に反対している情けない現実がある。

なんで、そーゆーことになるのか?

・うん。だから、やっぱり学び続けなきゃイカンのだけど、、、

ねぇ

・原爆の日を知らない子供も多いとか、、、

うん。

・だけど、、、

だけど、、、?

・やっぱり、早く「戦争を知らない子供たち」が世界中にあふれるほうがいい。

そうなればいいけどね。

・本当に高らかに歌えるまでは、、、まだまだだね。

核兵器だけじゃなくて、軍隊そのものもなくならないと、、、

・いや、国家というものも無くなればいい、宗教も、、、

結局、イマジン、ですか?

・あんまり抽象的なことを言っていると親父に怒られるけどね。