釜飯仲間

第78回 釜飯仲間・おこげのお話

2015.5.1
神奈川・緑の劇場

「里山のように、多様な仲間のNORAの輪を」
かねてより親交のある「社団法人 民族文化映像研究所」(民映研)が、体制を更新し、事務局機能と、映像作品と膨大な資料映像などの管理の拠点を分けて、今年から再出発されました。
それにともない、専従事務局員だった中川美帆さんは退職され、民映研としては専従者をおかずに運営していくとのことです。この間の民映研の事情や、今後の方向性については存じ上げないのですが、今後も民映研の120本に及ぶ映像作品の上映機会を設けることには変わりはありません。
ただ、私たちNORAのセカンドステージへの移行から現在までの経緯と、専従者のいない中での活動について、考える機会になりました。

任意団体の専従職員として約20年勤務していた経験と、専従ではなく、しかし、NORAの様々な活動に事務局的に参加して10年近くになろうとしています。
専従者がいるかいないかは、その活動の方法においては全く違うと考えた方が良い、と思っています。専従者が不在での活動は、一般的なマニュアルを参考にしながらも、独自に運営方法を工夫しなければなりません。使える時間も、費用も比較になりません。
一方で、専従者がいると何事においても専従者にお任せになり、専従者自身も必要以上に責任を背負い込むことになるのも致し方のないことだと思います。

NORAでは、参加メンバーのできること、やりたいことを活かし、できないこと、時には休みたいことも認め合うことで、専従者不在でも、一定の質を保った活動を進めてこられたし、絶妙のタイミングと絶妙な参加メンバーの組み合わせ、バランスが良い方向に機能してきたと思えてなりません。
各々が、自らの興味・関心で参加・運営できるプロジェクトや役割を担い、担える範囲でできることを、たとえ歩みは遅く見えようとも、コツコツと続けていく。
そのことを、NORAの仲間たちが保証してくれていることで、安心して活動できることが大切です。
また、幅広い世代と、社会的立場や、家庭環境の多様な人々の参加は、歩む速度や集中力も、違ったものどうしが、お互いの立場を理解して支え合うことで、NORAへの参加によって、各々がこころゆたかにすごせれば、と思います。

「はまどま」の活動に、少しずつ、新しいメンバーが加わり、新しい企画を提案・開催してくれて、NORAの輪が広がってくれることは嬉しいことです。
中川美帆さんは、「郷土映像ラボラトリー」という名前で、これからも民映研の映像作品の上映と、その上映を通じて出会った人たちのつながりを生む場づくりを進めていくとのことです。

若い世代のスピードと集中力に期待して、さっそく「はまどま」での企画も進めたいと考えています。こういう取組みと、取組みを通して結びつく仲間たち。「生物多様性」さながら「人物多様性」も、何より楽しみに思えます。

(2015年5月1日記 おもろ童子)