第97回 釜飯仲間・おこげのお話

2016.12.31
神奈川・緑の劇場

~光のぷろむなあど2016~“光の惑星”

2016年12月10日(土)・11日(日)の二日間を開催期間として、今年も大岡川アートサイト“光のぷろむなあど”が開催されました。

実行委員会は、通年、何かしらの企画、準備に関わっています。キックオフイベントを半年前に立ち上げ、10月にはプレイベントを企画し、一切がっさい有志の皆さんの意欲ですすめている、地域の、手づくりのお祭りです。寂しくなりがちな冬のお祭りです。それは、光のお祭りです。なによりも、地域の皆さんの心に灯りがともることを願って、笑顔の花が開くことを願って、毎年、積み重ねてきたお祭りです。

こんなお祭りにNORAも一翼を担うことが出来たならば、どんなに幸せなことでしょう。

今年のNORAの企画は、“光の惑星”と名付けました。「光のぷろむなあど」のセンターイルミネーションを囲むように、大小6基の「竹ドーム=ティピー」を設営しました。

素材は、小田原の柏木圭介さん親子が忙しい仕事の合間に取ってくれた真竹、農業資材の金具、それに“パオパオ”という、やはり農業資材の、光や空気を通す白い布です。用途は様々で、保温、保水、雪除け、害虫除けなど、状況に応じて作物を覆うなどして畑で用います。

昨年の“光の胎内”企画の経験を経て、設営・片付けが簡単で様々なデザインが可能な作り方を工夫したのが、今年の“光の惑星”です。

竹を割って骨を作ります。まず、地面に作りたいカタチの床面の枠を取ります。円形、楕円型、四角型、三角型、ひょうたん型など、柔らかい竹の特徴を活かして好きなカタチ、大きさを金具で地面に止めていきます。

次は、ドームを支える壁面から屋根になる部分を立ち上げでいきます。床に固定した枠との接続、立ち上げた骨組みどうしの固定には、ドリルで穴を空けてバインド線という柔らかく加工しやすい針金を使うのが安定して作業できました。

骨組みが完成したら、“パオパオ”で覆います。あらかじめ、出入り口は決めておきます。案外、この“パオパオ”を覆う作業に手こずりました。設営の初日には強風が吹いていましたから、特にやっかいでした。“パオパオ”での覆い方には、まだまだ工夫の余地がいっぱいです。デザイン性の高い覆い方などできたら楽しいと思います。

それでも、覆った“パオパオ”にアクリル絵の具で絵を描く作業は多くの皆さんの参加も可能で、それまでは、少し距離をおいて遠巻きに眺めていた皆さんも、一気に参加モードに切り替われる作業です。

日没前に、ここまでの作業を終わらせます。いよいよ、灯りを仕込みます。“光のぷろむなあど”は、光のお祭り、特にロウソクを大量に使う「生火」が許されるお祭りです。大都会の真ん中で、こんなお祭りはめったにありません。“光の惑星”も、ロウソクのゆらめきで灯りを灯したら、また雰囲気が異なって楽しいかもしれません。が、万が一の火災は許されません。お祭り全体を台無しにして取り返しがつかなくなります。

火災、特に、石油製品の“パオパオ”への引火には最大限の注意が必要です。

“光の惑星”に灯りがともり、皆さんの目を引き付けることができたなら、いよいよ、これからが本番です。この一つ一つの“光の惑星”で暮らす人々がいて、ようやく命が魂が入るのです。

紙芝居の惑星・民話の惑星・香りづくりの惑星・手づくりコスメの惑星・クリスマスリース作りの惑星・みんなが自由に出入りして楽しむ惑星・・・・お鍋を食べる惑星・・・

特に二日目は風も無く、穏やかに晴れた夜になりました。「わあー、まるでカマクラみたい!」と通りがかりに覗いてくれた人々の声。そうなのです。秋田のカマクラが発想のもとになっています。

寒い冬の「光のぷろむなあど」で、大人も、子どもも一緒になって、“光の惑星=カマクラ”の中の夜を楽しむ・・・。毎年恒例の企画になるといいな。

今年、地域の皆さんが一緒に製作・片付けに関わって下さいました。横浜建設労働組合の皆さん、南太田小学校「おやじの会」の皆さん。ありがとうございました。しかし、感謝のことばだけでは済まない、もっともっと、深い愛情を皆さんから感じています。皆さん、地域のために、地域の子どもたちのために、何かしたい、という温かい思いを持って集まってくださっているのだと思います。そうでなくて、なんで暮れの忙しい週末、寒風吹きすさぶ中で、一日がかりの作業などしてくれるものでしょう。

皆さんと出会え、皆さんと一緒に作業し、完成の喜び、安堵感を分かち合えたことに深く深く感謝します。

地域での多くの皆様との関わりを軸に「はまどま」の役割を活かす取組みは、いよいよこれからなのかもしれません。里山の入り口、里山を暮らしに活かすという「はまどま」の役割を日々意識しながら、地域の皆さんとの関わりを深め、広げていく中で生まれてくるものがありそうです。しかし、それは、地域の皆さんの要望、欲求に基いてこそカタチになるのであって、どのようなことが可能なのかは、予想だにできません。

森も、木も、手入れを重ねる歳月の先に、いつか人々の暮らしに役立つ日がくるに違いないように、「はまどま」もまた。

2016年も、残りわずかになりました。「はまどま」に関わってくれた皆さん、NORAを支えてくれた皆さん、改めて深く感謝申し上げます。新年が、皆様にとって、良い年であることを心よりお祈り申し上げます。ありがとうございました。

(2016年12月31日記・おもろ童子)

※上…当日のティピーの中の様子、下…みんなが作ったクリスマスリース
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