第50回 イモだんぎ
2012.10.31いしだのおじさんの田園都市生活
ただいま~。
・きょうも谷っ戸ん田オツカレサマでした。
はいはい。おみやげだよ。
・何々?
サツマイモ。今年はこれで終わり。
・えっ?
だから、今日、サツマイモを全部掘って、ヤマワケして、これが全部。
・ええっ?(たったこれだけ?)
せっかくの収穫だから、喜ぼうぜ。
・・・・
・・・・
・・・・
まぁね、去年は置き場所に困るほどたくさんだったのにね。
・家が狭い。
そういうことじゃなくて・・・。
・飽きることなく食べたのに、食べきれないほどあって、ね。
職場にもたくさん持って行ったね。ああ、思い出すと、やっぱ今年はサビシイね。
・不作だったの?
いや、そんなことないよ。デキは悪くはなかった。
・じゃ、なんで?
植え付けた本数が違うんだよ。畑の事情もあって、ね。
・去年のところに植えればよかったのに。
そういうわけにはいかないんだよ。畑は。
・そうなの?
同じ畑に同じ作物を植えると「忌地(イヤチ)」って言ってね、うまく育たないんだよ。
・へぇ、そんな風に見えないけど。
まぁ、稲にはその連作障害はなくて、田んぼは毎年だから、ね。
・他の作物は違うの?
いや、それぞれだけど、トマトやナスなどのナス科は特に連作に弱い。
・でも、そんなこと植える前に考えて芋を植えるんじゃないの?
そうだけど、我々は人様の畑を使わせてもらっている事情もあるし・・・
・それに素人の集団だし・・・
それにそれに、そもそも食うためにやっているわけじゃ・・・
・ん?
ないとは・・・いわないよ。
・そうでしょお。最後は食うんだから・・・
まぁ、「耕して食う」が人生だよ。
・ですよね。
収穫の喜びも・・・
・やっぱり去年よりこんなに極端に少ないとちょっとがっかり・・・
うん。(10分の1くらい)
・作ること自体が楽しみだと言うけれど・・・
食べることだけが楽しみの人もいるよね。
・だけ、ってことないでしょ。
だって畑に来ないじゃん。
・それは、土曜日にも勤務があるから・・・
たまに休みになっても来ないじゃん。
・そんなこと責めるわけ?
いやいや、そーじゃない。せっかくの収穫を前にケンカなぞしたくない。
・なんか、食べ物のウラミみたくなってきた。
よそう、よそう。
・でも、冷静な総括は必要でしょ。
うん、そうだな。まずは・・・
・なんで植え付け本数が少なくなったか?
それは、計画性と畑の事情だな。
・広い畑にたくさん作る計画を立てればよかった。
そう、思い通りにはいかない、んだよ。
・いろいろ事情あり、なんですね。
うん。畑を移して、耕し手も減って・・・
・来年はどーするの?
それが、また、ゼンゼン白紙の状態。
・早く計画しなきゃ、ダメじゃん。
それは、わかってはいるんだけど。いろんな縁の中で畑を使わせてもらっているからね。
・ビジネスライクには進まない?
そーいうこと。
・縁を大事に育てるしかないよね。
まったく。
・それが意外と下手!いしちゃんは。
そんなの、上手いも下手もないんだけどね。
・そういう考え方がイケナイんでしょ。上手くヤラなきゃ。
まぁ、もう少し言い方は格調高くしたいけど。
・(苦笑)
まぁ、来年たくさん芋が持ち帰れるように、今から頑張るよ。
・期待してますよ。
しかし、これが国単位のマジな食糧不足だったら、エライことですよ。
・買うしかない。
いや、「食糧不足」って、そもそも買うものがない状況だよ。
・それは困る。
でも、そういうときが来ないという保証はない、んだよ。
・TPPとかなんとか?
うん、他にもちょっとしたことで、「不足」の事態になるかも。
・まさに、この芋不足!
そういうことでなくて。
・?
畑を変えて、人間の異動があって、それだけなんだけど収穫減。
・土地問題と担い手問題、ってこと?
う~ん。
・ところで、他の作物はどうだったの?
たくさん植えた大豆がかなり調子悪いんだよ。
・枝豆、美味しかったじゃない。
あれは、調子よかった一部分。それも、量的には不作。
・そうなんだぁ?どうして?
コガネムシが大量発生した。スゴカッタよ。
・どうしたの?
いや、はたいて落として踏みつぶしたりしたけど、ヤケイシになんとやら。
・どうしようもない。
でも、少しは効果あったようだよ。踏みつぶしも。
・殺生だね。
そう。農薬も考えたけど、躊躇しているうちにそういう段階じゃなくなっちゃった。
・無農薬にこだわったわけではない。
そんなにこだわらないよ。上手にちょっとだけ使えば、それもいいとも思う。
・農薬を使わないことで集まった虫を殺生するよりも・・・
そう、少なく確実にちょっと農薬使って虫がわかないことのほうがいいとも考えられる。
・次回はよく考えてね。
うん、考えるけど、なかなかいろんなことのタイミングって難しいよ。
・タイミングねぇ・・・
スイカも植えたんだけどね。結局収穫デキズだった。
・去年はいいのがとれたのにね。
あれはビギナーズラック。
・今年はさっぱり?
そう、俺は早くにアキラメることを主張したけど、そうならなかった。
・どういうこと?
俺は、苗が虫にやられてもう無理と思ってね、片づけて、そこを有効利用しようと・・・
・つまり?
なにか別のものを作ろうという提案。
・しかし、そうならなかった。
うん、弱弱しい苗もどこかで復活すると思ったのかね。
・ダメな子ほどかわいい?
それは、人間ならそうだけど・・・
・作物も同じでは???
いや、実らないとわかったなら、育てるだけ無駄だよ。
・聞くと残酷。
人間だって、昔は切実だったんじゃないの?いや、今のどこかの国の・・・
・一人っ子政策?
そう。実になるほうを育てる。
・で、畑は?
早くにアキラメれば、次の種まきができて、なにかしらを収穫できる。
・その決断も難しそうね。
どうせ難しいなら、早めに判断してアクションして・・・
・次のチャレンジ?
そういうことだ。
・で、そうなったの?
いやいや。結局引っ張るだけ引っ張っちゃった。
・結果は?
スイカは悲惨だったけど、大豆は少しは実った。
・なんともイエナイね。
そうだね。でも・・・
・でも、なに?
決断には意義があったと思うことにするよ。
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