石田のおじさんの田園都市生活

第46回 週末談議

2012.6.29
いしだのおじさんの田園都市生活

ただいま~。
・きょうも(谷っ戸ん田)オツカレサマでした。
はいはい。
・疲れたでしょ。
いや、往復の運転は、まぁツカレるけど、ね。
・せっかくお休みの土曜日なのに、ね。よっぽど好きなのね。
うん、まぁ・・・
・好きじゃないの?
いや、もちろん好きなんだけど・・・
・なんか歯切れ悪いね。
Fさんも「積極的休養」って言っていたよ。
・でも、田んぼの草取りが休養だなんて、ヘンでしょ。
そうかも。
・でしょう。
きょう、田んぼで「俺たちは、な~んで草取りなんかしているんだろう?」ってつぶやいてみたんだ、まさに草取りしながら、ね。
・ふうん。
「それはテツガクテキナ話ですか」ってIさんが言っていたよ。
・へええ。
Tさんは「おいしいお米がたくさん食べたいから」って。
・哲学じゃない。
Sさんは、「そこに草があるから」って。
・まぁ、哲学的、というかブンガクテキ。
そこから話は山登りのことになって、みんなで山登りに行こう、と。
・簡単に話が逸れちゃう。
まぁ、ね。その間も手は草を取っては埋めている。
・おしゃべりしながらの草取りなんだ。
ま、ね。静か~に黙々の時間も。ケッコウあるけどね。
・静かなほうが休養になるんじゃないの。
いやいや、積極的休養だからね。
・ワイワイやるのもいいんだ?
ま、ね。除草剤の話もしたよ。
・除草剤を使えば楽なのに、って?
それもあるけど、ね。以前NORAの仲間とやった田んぼは使ったよ。
・そうだったんだ。
草取りの時間が確保できなくてね。
・どうだった?
いや、楽すぎて怖かったよ。でもね、ちゃんと効かせるのも難しいんだよ。
・そうなんだ?
ただ、撒けばいいんじゃないんだよ。水の管理に気を遣ったり、ね。
・どーゆうこと?
ジョソーザイ、ぶつ、って農家のおじさんは言うけど、ぶったあとに水が留まっていないと効果が極端に薄れるんだよ。
・そーなんだ。ただ撒けばいいわけじゃない。
でも、ホント、手間が省けるんだよ。
・じゃ、谷っ戸ん田でも使えばいいじゃない。
じゃあ、(我が家)薬のかかった米食べるか?
・そう言うとリアルだけど、いつも買っているフツーの米は無農薬じゃないでしょ。
ま、そうだね。でも、自分で作って自分で食う分は手間をかけたい。
・そのほうが食べるほうはウレシイしね。
ウレシクテ食べ過ぎちゃう。
・ヤバイね。うちのRちゃん。
それに、谷っ戸ん田は手間がかかることをあえて楽しんでいるんだよ。
・楽しい?
まぁ、ね。
・楽しいから疲れていても行くんだもんね。
そうだね。でも・・・
・でも、何?
う~ん。田んぼに這いつくばって草取りをしているのは、というか谷っ戸ん田に通っているのは、好きだからとか楽しいからというのとまた違う次元のような気もしているんだ。
・あぁ・・・(また話がわからなくなりそう)
谷っ戸ん田は俺の故郷だし・・・
・そう・・・(つきあいたくないかも、こういう話)
ヒデの故郷でもあってほしい。
・そ、そう?(ええーっ)
好きで楽しいときもあるけど、そう思えないときもあり、だからといって、いいときだけ、いいことだけするということではない。なにやっとんだ、なんだよ。
・(理屈になってないじゃん)
「病めるときも」・・・止めないんだよ。
・ははは(失笑だよ、わからない)
縁があってそこにいる、ってことだよ。
・まぁ、ここにいるのも縁だけどね。
そうなんだよ。選択して自己決定したということとはまた違うんだよ。
・そうですか(そろそろ、話題を変えたいなぁ)
(自分でもわからないけど)運命かも。
・ところでKさんはその後、どう?畑のほうは?
このまえなんか雨なのに、作業しているんだぜ。
・いいじゃない。
谷っ戸ん田の田の草取りで腰を痛めたとかいいながら。
・あら、かわいそう。
エンジン付き田車、持ち上げた瞬間、らしいよ。
・それでも、自分の畑には行くんだ。
谷っ戸ん田では見られない熱心さ、なんだよ・・・
・いいじゃない。
悪いとは言っていないよ。
・顔が言っているかも・・・
そ、そうかな?
・うん。
自分が食べることに直結しているからね。
・羨ましいんでしょ?
そうだよ。ったく。
・そういう、いわゆる自給をする人が増えることを望んでいるんでしょ。
そうだよ。俺のライフワークだよ。だけど、ジェラシーだね。
・自分にはベランダ菜園しかないからね。
そうだよ。
・キュウリもインゲンも美味しいけどね。子どもたちもよろこんでいるし。
俺の晩酌には、ちょこっとだけ、だね。
・「自給居酒屋」への道は遠いね。
前回のこのコラム、ヨタヨタの与太話だったしね。
・恥ずかしい。出演者として。
ごめんよ。
・もう出演したくない、かも。
それが、さ。Kさんに畑をさせてくれている人は居酒屋のマスターなんだよ。
・えっ、所有者、ってこと。
そうだよ。畑をやりながら、居酒屋もやっている。
・じゃ、自家製野菜を出している?
それが、忙しいのか自分の畑は草ぼっこ。
・じゃあ、いしちゃん手伝えば?
そうだね。近所だったらね。
・そして、その野菜を持って行ってお店で晩酌?
うん、昼間畑で作業しながら、今夜はこいつで一杯って考えたら楽しさ倍増だよ。
・どっちみち呑むことを考えている。
それが自分だけで呑むんじゃなくて、仲間と農を語りながら・・・
・相乗効果で呑む量が増えるだけでしょ。
創発効果で農の世界が深まるんだよ。心が耕されるんだよ。
・心配しているんですけど。
な、何を言っておる!
・呑んで話したことはオボエテイナイでしょ。
いやー、それでもね。耕されてはいるんだよ。
・どーだか?
歴史は夜作られるんだよ。
・肝臓に悪いだけじゃないのぉ。

(本名:石田周一)
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