石田のおじさんの田園都市生活

第45回 自給居酒屋妄想

2012.5.31
いしだのおじさんの田園都市生活

・ Kさん、自分の畑を始めたんだって。
ええー!どこで?
N町。家から車で15分もあれば着くね。
広さは?
100坪くらいはあるようだよ。
そんなに?
一人じゃなくて、お仲間がいるみたい。
へー。
仕事の関係でつるんでいる仲間がいるんだよ。
「つるんでいる」なんて。
しょっちゅう、呑んだり、ゴルフ行ったり・・・
つるんでいるのね。
そうとしか、いいようがない。
羨ましいんでしょ?
えっ、そんなことー、あるか。
でしょ。
それより、自分の畑があることが羨ましいよ。
自給できる。
いや、どこまでちゃんと野菜ができるかはまだまだでしょう。
でも、場があることは、やっぱり・・・
そうだね。やっぱり羨ましいよ。
楽しんでいる?Kさん?
いや、今はいろいろ植え付けて、でもなかなか上手く育たず・・・
いろいろ植えられたら楽しみでしょ。
そうだね。上手く育たないことも楽しいんだよ。
稼ぐ必要ないし、失敗しても誰にも叱られないし。
そうだね。
でも、失敗すると悔しいでしょ。
いや、失敗の醍醐味がじゅうぶん味わえて・・・いやー、いいなぁ。
失敗がいいわけ?
いや、「来年百姓」って言ってね、失敗して、ならば来年は、って考える。
それが楽しいの?
来年に希望をつなぐんだよ。
失敗があってもそこそこ食べられるでしょ?
いや、100坪、フル回転できればかなり余るよ。
へー。
この前はTさんが自分の畑のイチゴをみんなにふるまってくれた。
ヒデ、甘くて美味しかったって。
Sさんにもらったキャベツも上手かったよね。
とっても美味しくてびっくりした。
みなさん自家菜園のお裾分けだ。
じゃ、Kさんもいずれ・・・
うん。舌なめずりして、待っているよ。
家にももらってきて。
うん。ううん。なんか所帯じみているなぁ。
もらうほうになっているね。イシちゃん。
悔しいね・・・モトハトイエバ。
えっ?
Kさんには俺が農の楽しさを教えて、こうなったんだよ。俺が。
そんな、「俺が俺が」って言わないの。
いや、外では言わないけどさ。ここでは言わせてよ。
シカタナイ人ね。
俺も定年していたら加わりたいよ。
はいはい。
自分で作った野菜をアテに呑みたいんだよね。
どっちにしても、呑むわけね。
飲み食いのために耕すと言うのは本来的じゃん。
ヨクワカンナイ。
野菜も美味いぞ、自作だと、たとえブサイクでも。ああ。
お呼ばれすればいいじゃない。
いや、お呼びする方になりたい。
そりゃあ、そうだけど。
昔から思っていることがあってさ・・・

自作の野菜を持ち寄ってね、呑むわけ。
昔も何もいつも思っているんでしょ。呑むことばかり。
自慢の野菜を持ち寄る場をお店にしたら楽しいんじゃないかって・・・
みんなで酔っ払ったら商売にならないでしょ。
いや、コミュニティカフェだよ。
なんで、急に横文字になる?
ならば、日本語で、「持ち寄り居酒屋」。
可笑し過ぎる。
そうか?でも、最近あるじゃん。シェフが交替するカフェ。
あー、聞いたことある。
Kさんも食事を振舞うのは好きみたいだし。
商売は興味ないでしょ?
だから、そこはコーディネーターがとりしきる。
それ、ノンベェはやらないほうがいい。イシちゃんはダメ。
いいよ。俺は呑むほう専門でも。
それも・・・どうなんだか?
NORAで野菜の食事会をしているじゃん。
うんうん。
あーいうイメージなんだよね。楽しいよ。
それは、そうね。
あれは主催者は八百屋さんで農家さんの思いをみんなに伝える場でもある。
野菜作りの苦労、とか?
もちろん、苦労もあるけれど。楽しさや。自然のよさとか。
うん。
あんな雰囲気で自分の畑の野菜を持ち寄ってさ、それを料理してもらう。
してもらう、って、誰が?
コックさん。
それで、どうやって商売として成り立つの?誰の商売?
野菜が美味ければ人は集まるでしょ。やっぱコックさんの商売かな?
まぁ、そうかも、ね。
そこで、今夜の野菜の提供者はこの人とこの人です!なんてなるわけ。
なるほど。
そして、気分良く呑める。
呑みすぎになる。
とにかく、自分の野菜が美味しい料理になることを楽しみ、自慢をする。
それはいいけれど・・・
野菜といっしょに思いも持ち寄り、語り合いながら呑む。
・・・
それぞれの野菜作りの気持ちも盛り上がる。
・・・
情報交換したり。
・・・
畑のない人も参加すれば、畑にも行きたくなる。
・・・
そうやって畑好きが増えていく。
・・・
いいでしょ。
よく考えずに始めるのだけはやめてよね。
今は妄想だけど、いずれ構想したい。

(いしだのおじさん)

 

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