第63回 グミの花に、髭長花蜂(ヒゲナガハナバチ)が群れている!!
2022.5.1映像の持つ力
花びらのない虫媒花?
小さな森のある畑の4月は、野草が増え、バラ科の果樹を中心に花を咲かせ果実をつけています。
梅、アンズ、グミ、スモモ、サワーチェリー、庭梅、ユスラウメ、ブルーベリー、リンゴ、ポポー。
数の差はあれ今年も無事に実を付けてくれました。これもミツバチやハエなど、花粉を運んでくれるさ、まざまな虫のお陰です。
グミの花は筒状。この先端が4つに分かれた筒状の花は調べてびっくり、花びらではなく萼(ガク)でした。グミは花びらがない種子(顕花)植物。
ミツバチは、グミの花が長い筒状のため、なかなか蜜源にたどり着けないようでした。
髭長花蜂は単独営巣(えいそう)
ある日のこと、
グミの花に髭長花蜂(ヒゲナガハナバチ)がたくさんいる!!
髭長花蜂はミツバチと比べ動きが早いこと。
さて、髭長花蜂は筒の長いグミの花から、上手に蜜を集めることが出来たのでしょうか?
いずれにしても、たくさんの虫が花におとずれた甲斐があり、4月下旬になると、グミはたくさんの実をつけました。
カボス、柿、ブドウ、サルナシは花芽がつくられ(花芽分化)蕾がいっぱい。
開花を待っています。
さて、今年は、どれぐらいの蕾が結実するでしょうか、楽しみです
畑に果樹があると、次々に花が咲き実をつけます花見や収穫の賑わいが楽しくもあり、蜜を求めて花に集まる昆虫の観察も興味深々。
植物連鎖を軸にした生態系の仕組みに、ただただ感心するばかりです。
ミツバチは女王蜂、オス蜂、働き蜂に分かれ集団で生活する社会性昆虫。
冬の巣内を暖かくするときは、ミツバチは配置を組み入れ替わり体の発熱を利用した温度調整をします。
食べ物を獲得、生殖、子育て、世代交代など高度に役割が分化する、ミツバチに与えられた分業システムに即して生きています。
調べてみると、髭長花蜂は集団ではなく単独で巣をつくり生活する蜂とのこと。
観察してみると、髭長花蜂は家畜化された西洋ミツバチに比べ動きが機敏です。
一生を通し一匹で完結させるのですから、のんびりとはしていられないかぁ。
参考論文:花蜂と顕花 植物の共進化(J-STAGE公式サイト)
ミツバチの巧みな温度調節法(NHK公式サイト NHK for school )
オリジナル野草茶
今年は、タンポポの繁茂が旺盛です。早春のころ、家の畑にはタンポポが少ないねぇと言っていたら、増える増える。大きく立派です。
ありがたくタンポポの葉や花は野菜代わりに頂きました。
タンポポの根っこはタンポポ茶にして市販のチコリ茶と飲み比べをします。
チコリとタンポポは同じキク科、味はどう違うでしょう?
タンポポの他に、畑の縁から植えかえたヨモギも順調に繁茂しています。
初摘み、二番摘み、野草が増え、オリジナル野草茶をつくりました。
去年採種した、決明子、クコの葉とクコの実、今年のヨモギ、スギナ。
奄美のくび木を加えたオリジナルティーです。
自分で摘み、洗い、天日干しや焙煎しで仕上げました。
ほんと、価値のあるよいことは時間も手間もかかりますね。
生態系が整うと生物の多様性があらわれる
うちの畑は、化学や有機に限らず肥料は入れていません。ほんとよく育つものです。ありがたい。
土を耕すのはモグラ。土を肥やすのはミミズ。といったように生き物が助けてくれます。
人の都合で手を加えることを減らすと、その分、生態系が整い年をへるごとに生物の多様性があらわれることが実感できます。
農薬や除草剤も使っていないから、野菜や果樹、薬効のある植物を使ったオリジナルティーまで、安心して食事をいただけます。
畑で採れたクコの実とクコの葉はお料理にも使います。
お米は自家栽培の自然米。
小さな森のある畑より
日本ほうれん草(日本在来種)の種が採れました
日本ほうれん草の種は、菱の実にそっくりです。
このひとつひとつの種殻の中に種がひとつぶづつ入っています。
ほっ。小さな森のある畑に初めて蒔いた日本ほうれん草、無事に種採りができました。
初めて植えた日本ほうれん草はうま味が濃く美味しかった。
大きく育たなかったため収穫は間引き菜を頂く程度にし種採り用にしました。
今年はうちの土壌から生まれた種を蒔きます。
土壌になれ、食べごたえのある大きさまで成長するかしら。
手をかけること、観察と工夫を繰り返すこの時間がノラしごとの醍醐味。
「米や野菜をつくって銀行口座の数字が増えるだけじゃ面白くないよなぁ」地主さんがおっしゃいました。
生態系との親和性
親和性という言葉、どういう時に使いますか?
先日、科学について意見交換をした際に、科学技術をどう評価するかという点で親和性など総合的に評価することが大事なのではという意見が出ました。
・人間との親和性
・その技術は人間にとって幸せな技術なのか
親和性は、人間社会において、生態系との親和性という点で使うこともできますね。
・この暮らしは生態系にとってどうなのか
・田んぼの土起こし(耕耘)は、稲がよく育つための技術です。人にとってはありがたいこと。さて、稲にとってはどうなのだろう?健全な生態系にとってどうなのか。
先人がつくりだした「里山のある暮らし」は、自然から学び技術革新を繰り返すなかで構築された、自然と一体になった生活文化です。
「生態系との親和性が確保された」、「生態系との親和性の高さが伺える暮らしと」、説明することができますね。
「里山のある暮らし」は時間も手間もかかります。
この暮らしに見られる自然との親和性が、自然環境の厳しい日本において、持続可能な暮らしを可能にするための担保になっていたのでしょう。
「人は生態系の一部」
国をこえて共通する先人たちの自然に対するとらえかた。
里山をつくりだした日本の先人たちは、言葉にせずとも、自然の法則に即した暮らしの実践から「人は生態系の一部」という自然観が身に染み、里山をつくりだす原動力となり、自然あらしめているものまで同時にみていたことでしょう。
(中川美帆)