釜飯仲間

第34回 釜飯仲間・おこげのお話

2011.8.29
神奈川・緑の劇場

私たちは、時代の経過を表す時、開港~年、戦後~年、と数えてきたけれど、これからは、大震災後~年と数えるに違いない。

「東日本」と付けなくとも、大震災といえば東日本大震災という時代は、しかし、原子力発電所から放出され続ける放射性物質汚染と、子どもたちの未来にまとわりつく被曝に起因する発病への恐れと、向き合い続けなければならない時代だ。

そして、原子力発電所の閉鎖へ向かおうとする人々との連帯。それらを通して、再び、家族の絆、地域づくりを大切に思い、暮らしのかたちを見直しながら、私たちの求めてきた「里山に学び里山の恵みを活かす」輪は拡げていくことが大震災以前よりもいっそう強く希求される。

大震災後、四ヶ月を経過した7月27日、Ustreamという動画共有サービスに「怪しいけれど楽しそう!」と評判をいただいた映像が流れた。

http://www.ustream.tv/recorded/16270944

はまどまで『浜っ娘音頭』を踊る男女は、ビールを飲んでは踊る。即席で作った野菜のおかずを食べては踊る。大きなスイカにカッパみたいな絵を描いては踊る。そのスイカを輪切りにして、はしゃいでは踊る。もちろん、スイカにかぶりつきながら踊るのだった。

NORA仲間が和歌山県高野町富貴・筒香(つつが)の地域活性化(※1)のために移住して二回目の夏。二十歳以下の住人が居なくなってしまった集落、上筒香で行われる夏祭りでChoji(※2)のミニライヴを企画し「浜っ娘音頭」(※3)を踊ろう、という。横浜からも、踊りにいくために練習をしていたのだ。

※1
http://fuki-tsutsuga.cocolog-nifty.com/blog/
※2
http://blog.choji.jp/
※3
http://www.youtube.com/watch?v=fnf849HBokk

その映像のいかに「怪しげ」だったかは、踊っていて見ていないから、わからない、わからないが、踊る七人中に、五十代半ば以降が四名いたという事実は、Ustreamの映像だっただけに「怪しげ」を越えて「不気味」ではなかっただろうか?

さて、「浜っ娘音頭」は無事、筒香の夏祭りで披露できた。里帰りの若い家族、子どもたち、和歌山の都市部から招かれた「よさこい」チームも、一緒に踊ってくれた。もちろん、五十代仲間もその中にいた。三十代、四十代に手を引かれ、背中を支えられながらたどり着いた筒香。長年の間に、いつの間にか自分で限界を作っていた、そんな淵を飛び越えた夏になった。

NORAでは、子どもから、年輩者まで、各世代が様々なプロジェクトに参加している自分が年輩組に入ってしまうと、若い世代への仲間の拡がりが嬉しい。が、ご同輩が若い世代と一緒にはしゃぐことができるなんて、それはそれで、なんて素敵なんだ、と思う。

「浜っ娘音頭」は、仲間たちの尽力もあり、この夏「みなとみらい大盆踊り」を始め、磯子、港南などで披露することができた。踊りながらまたまた新しい出会いがうまれた。この場では紹介しきれないがNORA仲間たちの「自分への挑戦」がいろいろあった夏も過ぎようとしている。

まもなく、大震災後、六ヶ月。

原発は?政権は?経済は?

私たちは生きていく。子どもたちを育てていく。

(おもろ童子)