第18回 釜飯仲間・おこげのお話
2010.5.1神奈川・緑の劇場
下町風情を残す南区に、また新しい集いの間が生まれた。
横浜橋商店街の一角を曲がった所にできた「よこはまばし アートピクニック TOCO (トコ)」。元は床屋だった築50年の木造2階建てを利用した、新たなアートの現場。ACY(アートコミッション・ヨコハマ)の事業の『芸術不動産』のモデル物件だそうだ。
もと「床屋」の名残を残すタイル貼りの外壁に、木枠の窓。室内は真っ白にペイント。天井からレースのシャンデリア。二階はアトリエになっていて、作品制作の現場と発表の場が直結している。
一階の小上がりになっている四畳半スペースは、カラフルなアートの渦。
ある日の昼は、近所の小学生がかわるがわるやってきて、自分の持っている絵の具を披露したり、描いた絵を交換したり、ある日の夜は、即興のアートに加わるはかなげなダンス。横丁の暗がりに小さく灯りがともるTOCOは、静と動の緩やかなライヴ空間になっていた。
描く、踊る、撮る、遊ぶ、飲む、話す、笑う、祝う、観る、交わす。
トコとドマ。
なんだか姉妹の名前のよう。
トコとドマ。
何かが生まれる空間の姿は、どちらもさながら子宮のよう。
TOCOも、はまどまのある大和ビルも、どちらも生まれてこの方50年。この建物がアートの土台となり、たくさんのアーティストの色に染められるなんて…50年前に建てた人は考えていただろうか?いや、もしかしたら、もともと南区自体は芸術のるつぼだったりして…そんな季節はずれの寒い雨の中で思う、春の1日。
※TOCOについて、詳しくは下記サイトをご覧ください。
http://creativemap.jp/spot/visit/toco.html
http://web.me.com/toco_toco/Yokohamabashi_Art_Picnic_Toco/about.html
(おもろ童子)