第十話 水質のはなし2 安全な水・おいしい水
2014.7.1水の流れは絶えずして
前回、は水質のはかり方や分析結果の考え方などについてお話ししましたので、今回は水質の尺度についてお話ししたいと思います。
40年ぐらい前、横浜の川がどこも「どぶ川」と呼ばれていた私がこどもの頃に比べ、最近は横浜の川にもアユやハグロトンボが住めるようになりました。
日本で最初の近代水道として有名な横浜の水道も、一時はカルキくさく、生で飲みたくない時期もありましたが、最近は少しおいしく感じるようになりました。
この「きれい」とか「おいしい」とかは感覚的な評価ですが、これを科学的に評価してくれる尺度に基準があります。
たとえば河川の汚れは、環境省が定めた「公共用水域の水質汚濁に係る環境基準」があり、地下水には「地下水の水質汚濁に係る環境基準」が定められています。これら環境基準は、「人の健康を保護し及び生活環境を保全するうえで維持することが望ましい基準」とされていますが、準値を超過したら即座に対策しなければならない、という性質のものではありません。
一方、水道水では、厚生労働省が51項目について「水道水の水質基準」を指定しており、これは、必ず守らなければならない基準です。ちなみに、個人用の井戸に対しては10項目が検査対象となり、基準値を満たさないと飲用不適の井戸となります。
このように、水がきれいとか汚れているというのは感覚的な表現ですが、分析で得られた結果も、対象によって評価が違ってきます。
ところで、安全な水=おいしい水 といえるでしょうか
安全なはずの水道水ですが、「飲用にはペットボトル」という家庭も多いのではないでしょうか。
原因はカルキ(塩素)臭いとかがあると思いますが、「なまぬるい」というのはどうでしょうか。常温のペットボトルと冷蔵庫で冷やした水道水を飲み比べたらどちらがおいしく感じられるか試してみて下さい。
カルキ臭さは一度沸かして湯冷ましにすると臭いを消すことができます。今年の夏は、おいしい水道水を作ってみてはいかがでしょうか
参考
厚生省の「おいしい水研究会」の調査結果によると「おいしい水」の成分は次のように示され
ています。
•蒸発残留物(ミネラル):30~200mg/リットル
•硬度(カルシウム、マグネシウム等):10~100mg/リットル
•二酸化炭素:3~30mg/リットル
•有機物等:3 mg/リットル以下
•臭気度:3以下
•残留塩素:0.4mg/リットル以下
•水温:最高20度以下
ペットボトルの水に書かれている成分と比較してみて下さい。
ちなみに、有名なミネラルウォーターevianのホームページでは、おいしく感じる水温は夏場は10(7℃~12℃)度前後、冬は15~18℃と紹介されています。