水の流れは絶えずして

第十一話 和歌山県高野町富貴の水

2014.8.1
水の流れは絶えずして

 

そろそろ夏休みというからも多いと思います。7月26日から27日にかけて、チョージさんが出演する「田んぼオブザワールド」を見るために、はまどま仲間と訪れた和歌山県高野町筒香を訪れました。今月はここで感じた水環境についてお話しします。

筒香は、紀の川支流の源流部に近い谷間の集落です。川沿いに形成される段丘上の緩斜面には石積みの水田が広がり、山裾には住居が、そして山の急斜面には石積みの小さな畑と杉林、尾根付近は赤松林です。
畑ではいろいろな野菜が作られていますが、特に茗荷は有名です。かつては、赤松林で松茸もかなり採れたとのことでした。

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山裾の集落 背面の斜面に石積み畑、スギ林、尾根付近にアカマツ林が見える

この集落のすごいところは、公共水道がないところです。生活用水はそれぞれの民家が沢の水を直接引いて使っています。水田沿いの道路に水源としている沢の出口があり、平地には清涼な風が吹き出していました。

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生活水をとっている沢の出口 心地よい風が吹き出している

この水は、周辺の赤松林や杉林に降った雨が一旦地下に浸透して、地下で浄化された後に湧水となって再び湧き出したものです。段丘上の水田にも湧水がしみだしており、水田脇のたまり水には、ヤマアカガエルやトノサマガエル、アカハライモリ、シマヘビなどが、また水路や川にはシマドジョウやアブラハヤなど、かつて水田には当たり前にいた生きものたちが、当たり前のように生息していました。

水道がないところなんて....と思ったかもしれませんが、わざわざ公共水道を敷かなくても生活圏内に飲用水源があるということは、清流・水資源に恵まれた自然豊かな土地だという証拠です。
都市では、「自分で水が確保できないから、遠くから水をいただいてきている」ということを忘れてはいませんか。

このように水資源豊かな筒香ですが、昨年9月には豪雨災害で大きな被害に遭ってしまいました。蛇行している川が溢れ、この田んぼをまっすぐ突っ切って土砂や石を堆積してしまったため、今年田植えができなかった水田や、水田そのものが流されてしまって護岸だけが取り残された無残な田んぼなど。復旧がかなり進んでいましたが、1年近くたった今でも災害の爪痕が残されています。

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段丘上に作られた石積みの棚田(上)
昨年の豪雨災害で、川沿いの水田が堤防ごと流された(下)

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洪水が水田を突っ切り、土砂の堆積で田植えができなかった水田

いい水があるところにはいい人がたくさんいると言われるとおり、筒香の皆さんの素晴らしいおもてなしで、とてもいい休日を過ごすことができました。これからも、筒香の自然を守っている方々を応援していきたいと思い、横浜に戻りました。

水の流れは絶えずして