第十二話 沖縄の地下水事情
2014.9.1水の流れは絶えずして
この夏、生まれて初めて沖縄を訪れる機会に恵まれ、かわ仲間の崎山さんにお願いし沖縄本島南部の水資源について案内しいただくことができました。今月も地方からの報告になってしまいますがご了承ください
沖縄南部は、広い範囲で地表付近に石灰岩が堆積するため、雨水のほとんどは地下に浸透し、石灰岩の下にある泥岩層を受け皿に石灰岩の中に蓄えられた地下水が、泥岩と石灰岩の間から湧水として湧出するとのことです。
以前、横浜の台地の地下水は、地中に浸透した雨が、泥岩層を受け皿とした関東ローム層という容れ物に一旦たまり、谷戸から湧水として出てくるというお話をしました。
大きな仕組みとしては似ているのですが、関東ローム層と石灰岩層では地下水の溜まり方が大きく異なります。関東ローム層の場合は粒子と隙間を水が移動するので、この地層が堆積している場所で井戸を掘れば、面的に何処にでも地下水を得ることができます。しかし、石灰岩の場合、鍾乳洞で見られるように、地下に川が流れていたり、大きな空間やトンネルのような割れ目が網の目のように分布していたりするため、この割れ目を移動しています。このため、この割れ目が地表に出ている斜面から川のように多量の地下水が湧出してきます。
今回、崎山さんに地下水が湧き出る場所をたくさん案内していただきました。
現在のように水道が発達する以前は、湧水の多くは集落の共同水源として利用され、ここには必ず拝所が設けられています。珊瑚から形成される石灰岩地帯では、水不足がたびたび起こることから、水に対する信仰が自ずと生まれたのだとのことでした。
今回訪れた水源のいくつかを紹介します。
・垣花樋川(かきのはなヒージャー)
環境省の名水100選にも指定されています。
水源に近い方から飲み水用、洗い物用、家畜等に分かれて利用され、下流では稲作用に使われています。男と女の利用する場所が分けられています。
湧水の出口と湧き出る地下水
かつて家畜などを洗っていた池で元気に遊ぶ子どもたち
・仲村渠樋川(なかんだかりヒージャ)
仲村渠集落の共同用水施設。代表的な沖縄の伝統的な石造井泉の一つ
写真左の方に拝所を見ることができる
・奥座村の水源 水量が豊富であったため、終戦後は米軍基地の水源として接収されていた