第138回 釜飯仲間・おこげのお話
2020.6.30神奈川・緑の劇場
2020年7月配信より「釜飯仲間」=おこげのお話=
国連「家族農業の10年 2019年~2028年」そして新型コロナウイルス災禍の中で
2020年が半年過ぎ去ってしまった。今までの人生で経験したことの無い半年。それでもちゃんと、梅雨が来て蒸し暑くなって蚊が飛んでいる。頭ではわかっているつもりでも、季節の移ろいとの折り合いがつかないまま、カレンダーをめくる。
だが、生産者たちは、日々、今やらなければならない農作業に余念がない。他県よりも遅い神奈川の田植えも済んで、様々な夏野菜の収穫が始まった。そうして、近年、必ずと言ってよいほど聞かれる声。「こんな年は初めてだ!」が今年も聞こえてくる。小田原では、梅が6月中旬までに盛りを過ぎてしまった。例年どおりにのんびり構えていて、今年は梅干しを漬けられなくなった人もいる。三浦では、スイカが受粉から成熟までの日数が思いがけず早まり、焦って収穫しているという。
政府が日本の主食である米の需給調整から手を引いて(責任を取らなくなって)3年目になる。各都道府県の作付状況を積算すると平年並みの生育で収穫があった場合20万トン、米が余り米の生産者価格が暴落する恐れがあるという。コロナ災禍で家庭での米消費は増えたが、観光業、外食産業、学校給食が減った。これからの景気回復も多くは望めない。生活苦に陥り、日々の食事にも窮する人が急増するコロナ後、米の価格が下がるのは歓迎だ。だが生産者は米を作り続けることができるのだろうか?日本に暮らす人々のために農産物を作ってくれる生産者は過去最低の140万人。政府が目標とする2030年も140万人。つまり、今後も減り続け、政府の掲げる目標どおり増えたとしても、今より増えることは望めないのだ。そして、政府の目標どおり達成した農業政策は、無い。
政府は、コロナ災禍を経験して、食糧安全保障の観点から国内での食糧生産を重視するという。ぜひ、そうであって欲しい。ならば、今年1月1日に発効した日米貿易協定や、昨年たて続けに発効した米国を除くTPP11と日欧貿易協定の扱いは?多国籍企業の利益のために、日本の農業をいけにえにしてきた政策の行方を注視したい。まずは、日本の米づくりを政府がどう支えるのか、みんなで注視したい。
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(2020年6月30日 記 三好 豊)