第136回 釜飯仲間・おこげのお話
2020.4.29神奈川・緑の劇場
「釜飯仲間」=おこげのお話=
国連「家族農業の10年 2019年~2028年」そして新型コロナウイルス災禍の中で
日々刻々と変わる状況、人々の気持ちも揺れ動く毎日。農業に携わる人々もまた、かつてない時代の激流に挑んでいる。
世界では、自国民への食料を確保するとして、主に穀物の輸出規制が始まっている。ロシアを始め13か国が実施するという。日米欧・中国・ロシアなど20か国の農相がテレビ会議を開いた。世界保健機関(WHO)など35の国・地域・機関の代表が参加。日本からは江藤拓農相が参加し、新型コロナウイルスを理由に輸出入規制をしないよう呼びかけた。WHOのテドロス事務局長も食料の安定供給を維持するために農家や食品事業者が活動を続けることを重視。採択した大臣声明では「世界の食料安全保障を守るために緊密に協力」「いかなる不当な制限措置を回避する」とし、農家らの活動、生計を維持、回復するための支援強化を打ち出した。特に、小規模経営、家族経営がより経済的に豊かになり、持続できるように支援するとした。食品のロスや廃棄は「食料不安などを悪化させかねない」と指摘。食料供給網の維持の重要性を強調した。
まったく同時期に、国連の世界食糧計画(WFP)は、2020年の食料や栄養不足で苦しむ人が19年の倍に当たる2億6500万人になる見通しを発表した。新型コロナの影響で各国が移動制限を設けていることに加えアフリカなどで猛威を振るうサバクトビバッタの被害を見込んでいる。19年は紛争・自然災害・経済危機の順で食糧不足に苦しみ7割近くはアフリカが占めていた。
日本の食料自給率はカロリーベースで37%しかない。一方で年間640万トンの食料を捨てているという。日本国内の米の消費量に迫る量だ。
昨年の台風による自然災害からの復興もままならぬのに、コロナ禍である。生産者は、その作物や販売先によって影響は様々だが、観光業や外食産業とのつながり、学校給食、そしてイベントの中止などに関連する部門がより深刻だ。野菜や果物ももちろんだが、肉牛・酪農・花などである。(※水産業でも神奈川を代表する三崎のマグロが深刻な打撃を受けている。)また、海外からの技能実習生が来日できなくなり、農家の人手不足も深刻になっている。そこで、仕事が無くなってしまった、例えば観光業から農業支援にあっせんするなどの動きが見られてきた。いままでの販路が見込めなくなった若い生産者は、それでも作付を減らさない、「いざ野菜を求められた時に作らなかったとは言いたくない」という。
観光イチゴ園では、急遽イチゴの即売を始めた。「一粒も無駄にしたくない」。
はたして「野菜市」では何ができるのか? 生産者・お客様、三者共同で暮らしに役立つ取組みを目指してみたいと考えています。(各情報は最近の日本農業新聞から引用しました。)
( 2020年4月27日記 三好 豊)