第120回 釜飯仲間・おこげのお話
2018.12.27神奈川・緑の劇場
~神奈川の農業のこと、食べ物のこと。生産者に寄り添って31年~
2019年、皆様にとってより良い年になることを祈ります!ほんとうに祈ります!しかし、残念ながら、戦後最悪の時代へ(農業だけではなく)の突入になるのだろう、と感じざるをえない年明けです。
生産者に寄り添って・・・は、かっこつけた言い方です。実体は、生産者にしがみついて、というところです。しかし、都会暮らしの皆さん、生産者の親類縁者もなく、家庭菜園としても、食糧生産の手段を持たない皆さん、一刻も早く生産者にしがみつき、けっして手を離さないようにしましょう、と言いたいのです。
2018年もたいへんにお世話になりました。厳寒の冬、農産物の生育が止まり、市場価格の超高騰で迎えた年でした。私は、食糧危機はある日突然やってくる、そして、本格的な食糧危機が目前に迫っていると言ってきました。その前に小さな食糧危機が来て欲しい、そうすれば、国民の間に、この国の食糧生産、農林水産業を大切にしようという機運が生まれるはずだと。生まれて欲しい、と願い、昨冬は絶好のチャンス到来!と思ったのですが、なにより政府、マスコミは野菜が高いと言うばかり。なぜ高いのか?気候ばかりが原因ではないことは、生産者なら皆さん知っていること。ついに社会全体に食糧危機との認識は生まれませんでした。挙句の果て、市場最高の農産物輸入の一年になってしまったのです。どうやら、この国は「食糧危機」がほんとうにやってきても関係ない人たちが牛耳っているらしい。
私は、神奈川エリアの食糧生産は世界文化遺産級だ、と15年前がら訴えてきました。富士山から西へ東京湾まで、多摩丘陵から相模湾までのエリアに何万人が暮らし、どれだけの経済活動をしているのか?その中での食糧生産の質と量、生産額は?おそらく、世界に類をみないであろうと私は勝手に思っているのです。研究者の皆さんにぜひ調べていただきたいのです。
同様に調べていただきたいことがあります。単位面積あたりの食糧生産額と量、生産性の高さです。神奈川とその周辺エリアのそれは、日本でもトップクラスではないでしょうか?そしてそれは、世界でもトップクラスということです。
自然環境、歴史、生産者の努力があいまって、たぐいまれな「宝」の大地に私たちは暮らしていることを知らせたい。この地域の農地山林を潰して利益を求めようとする人々にとっては、知られたくない事実でしょう。しかし、私は、多くの人々に知って欲しい、知らせなければならない真実だと思っています。
沖縄のサンゴ礁の海とそこに暮らす生き物たちへの関心は世界中から集まります。しかし、神奈川の農林水産畜産業への関心は、私たち、神奈川で暮らすものが関心を持たなければ、誰も興味をもたないのです。残念ながら今のところは。
(2018年12月27日・記 おもろ童子)