第四十話 金沢区の水の流れ
2017.6.1水の流れは絶えずして
つい先日、レンジャーズ活動後の昼食のとき、私が住む金沢区の水環境の話題になり、特徴は何と聞かれて、『区内で源流から河口までの流域が完結していること』と答えたところ、意外にも興味ありげな反応が返ってきたので、先月の潮干狩りに引き続き、金沢区の水環境について書きたいと思います。
ずいぶん前のコラムで横浜の水環境の特徴として、大河川がない代わりに源流から河口までの流域が市内で完結していること、ということをお話ししました。金沢区は、まさにその地域限定版。
区域の大半は、横浜南部の多摩丘陵から三浦丘陵へ続く円海山を源流とし、平潟湾に流れ込む宮川と侍従川の流域。その他は区内の丘陵に源流を持ち、東京湾へ直接流入する小河川です。
野島や海の公園で海の恵みアサリが沢山採れるのは、流域の環境が良好に保全されているからでしょうか。
源流から河口までが区内で完結する金沢区(明治前期測量二万分の一フランス式彩色地図に加筆)
そして、この金沢の海は、安藤広重が描いた金澤八景にも示されるとおり、風光明媚な土地柄です。明治時代には伊藤博文や川合玉堂が別邸を置き、昭和に入ってからは直木三十五が邸宅をおいています。杉田のトンネルを抜けると空気が変わるといわれるように、冬は、NORAの事務所で肌寒く感じられた日でも、富岡の駅を降りると、ほっと暖かさを感じる地域です。
野島山頂から円海山方面を展望
金沢動物園から東京湾を遠望