第二話 台地の生い立ち
2013.11.1水の流れは絶えずして
横浜は谷戸の街 、この谷戸は丘陵、台地、低地から構成されているということを前回は紹介しました。では、この谷戸はどうやってできてきたのでしょうか。丘陵、台地、低地は地形がつくられた時代や過程がそれぞれ異なりますが、一筋縄で説明するのはむずかしいので、今回は丘陵の生い立ちを紹介したいと思います。
横浜市域の三浦丘陵と多摩丘陵は、上総層群と呼ばれる約200万年前から約70万年前頃に海に堆積した砂や粘土が、その後の少しずつ隆起(地面が海面に対して相対的に高くなること)して、今の高さになりました。そしてこの丘陵が隆起している課程で、雨水や河川の浸食によって谷地形が形成されました。
多摩丘陵の頂部の標高が横浜市内ではだいたい70から80m程度なので、10年間でだいたい1mm隆起している計算になります。
200万年と言われると、遙か遠い昔のように思われますが、45億年前といわれる地球の年齢を1年(365日)にたとえると、これらの丘陵が堆積したのは、わずか1~2時間前の出来事、とても若い地形・地質といえると思います。
さて、三浦丘陵や多摩丘陵を形成する地層ですが、金沢区の長浜から野島にかけての昔の海岸線にそった海食崖やいたち川沿い、また場所によっては谷戸の水田脇などの崖でも見ることができます。ちなみに、この上総層群の地層は房総半島につながっていますが、隆起の早さは房総半島のほうが大きくなっています。
長浜公園から見られる上総層の海食崖
(島村雅英)