第一話 横浜の地形~里山の横浜的特徴
2013.10.1水の流れは絶えずして
水の流れは絶えずして~横浜の谷戸の生い立ち、水環境
横浜の里山景観といえば谷戸を連想する人は多いと思います。
谷戸の特徴として、三方を斜面に囲まれた平坦な谷を一つの地形的なまとまりとし、斜面は雑木林と呼ばれる樹林地として、谷の平坦面は谷戸田と呼ばれる水田として利用されてきました。また、谷戸田の上流からは湧き水が湧いています。
今回から、この谷戸地形の生い立ちや湧き水や地下水のメカニズムなどについて紹介していきたいと思います。
第一話 横浜の地形~里山の横浜的特徴
横浜市域全域の地形を概観すると、大きくは、丘陵、台地、沖積低地そして人工的な埋立地に分けられます。
横浜市の地形区分 (引用 横浜型エコシティ研究報告所, 2002)
丘陵は、北は八王子から連なる多摩丘陵が、港南区あたりで円海山を形成する三浦丘陵につながっており、横浜市西部を南北に貫くことで、東京湾へ流入する河川と相模湾へ流入する河川の分水嶺を形成することで、市内主要河川の源流域となっています。
台地は、丘陵の前面に形成された字の如く頂部に広い平坦な面を持った標高40m程度の小高い丘です。東京湾側は下末吉台地、相模湾側は相模原台地と呼ばれ、主要な河川の支流の源流が多くあります。
このように、市内に分水嶺があるということは、河川の源流の多くあるということ、つまり多くの谷戸が存在するということにつながります。
現在では都市化によって地形が改変され、本来の谷戸の姿を見ることができる場所も限られてきてしまいましたが、横浜市環境科学研究所が2000年に発行した「横浜型エコシティ研究報告書」では、都市開発が進む前、市域内に3751の谷戸が存在したと書かれています。
低地は、河川沿い及び東京湾に面した標高の低い平坦な地形を持つ地域で、谷戸田もこの低地に分類されます。
一般に大きな河川沿いや海岸に面した低地は、土地利用がしやすいため、街がつくられるところですが、横浜は、台地が東京湾に迫っているところが多かったため、干拓や埋め立てによって、街がつくられてきました。
次回は、これら地形の生い立ちの話をしたいと思います。
(島村雅英)