第五話 地下水は流れる
2014.2.1水の流れは絶えずして
今までの4回で谷戸に流れ出る地下水の容れものの話をしてきました。この地下水の容れものは専門的に「帯水層」と呼ばれます。なお、前回のコラムの図をちょっと更新しましたので、ごらんください。
さて、今回は、地下水が帯水層を形成する関東ローム層のなかで、どのように流れているのかについてお話をしたいと思います。
1.「水みち」とは
地下水の流れを話題のなかで、「水みち」という言葉を耳にしたことはあるでしょうか。もしかしたら地下水がトンネルのような川を流れているのを想像していませんか? 地下水は実際には土の粒子と粒子の間を移動しています。
帯水層中の地下水の流れの模式図
「水の低きに就くが如し」というのは孟子の有名な言葉ですが、地下水も同様に、高いところから低い方へ帯水層中を移動しています。つまり、水みちというのがあるとすれば、それは「帯水層の分布する範囲」としてとらえることができると思います。
2.地下水の流れをとらえる
川のように目で見ることのできない地層の中の地下水の流れをとらえるためには、地下水の窓とも呼べる井戸を調査することが一般的です。大きな丸い井戸を覗くと井戸にたまっている水(地下水)を観ることができます。
丸井戸と地下水面 井戸を覗くと地下水面をみることができる
この地下水の水面の高さを地下水位といい、地上からの深さや、標高などで表されます。この地下水位は、ボーリングなどで管を入れただけの井戸でも、はかることができます。
地下水の流れをとらえるためには、最初になるべく多くの井戸の地下水位を測定し、地下水位の等高線で結んだ地下水面図を作ります。地下水はこの等高線に直交する方向に移動しています。
台地上の関東ローム層ないの地下水の流れ方向をしめした地下水面図の例
ちなみに関東ローム層内の地下水の移動速度は1日数メートルと言われています。