水の流れは絶えずして

第十四話 湧き水は歴史の中で

2014.11.1
水の流れは絶えずして

2年ほどまえ、NHKの朝の連ドラで放映されたゲゲゲの女房でもたびたび登場した深大寺付近で水質調査を行う機会がありました。

深大寺は、奈良時代の天平5年(733)に満功上人が開山したといわれ、この深大寺の名は,水神の深沙大王に由来し(詳しくはhttp://www.jindaiji.or.jp/)、水源が大切に保全さえるとともにゲンジボタルも見ることができます。
この場所は、約4万年前にいまより海水面が数十メートル高かった時代、多摩川の扇状地として砂礫が堆積し、その上に火山灰が降り積もった関東ローム層が堆積した武蔵野台地が、その後、海水面が今の高さに下る過程で浸食されてできた国分寺崖線の裾に位置しています。このため、武蔵野台地に降った雨が、関東ローム層で濾過されながらゆっくりと浸透し、その下位の礫層にかん養され、台地が窪状に浸食された「ハケ」と呼ばれるところから多量の湧水がしています。
深大寺の裏山からは、その名の由来に示されるとおり、豊富な湧水が湧きでいます。

深大寺3

武蔵野凱旋から湧き出る湧水

深大寺2

湧水源はた大切に祀られている

先日行った水質調査では、水質のちょっとした違いから地下水を見分けることができましたので、紹介したいとおもいます。
今回の調査では、湧水と境内にある浅井戸の簡易測定を行いました。調査項目は、パックテストによってCOD、硝酸、亜硝酸、アンモニア、リン酸と測定器でpH、電気伝導度(EC)です。当初は同じ帯水層の地下水だと考えていましたが、pHとEC に違いが見られ、帯水層の違いを検討することができました。具体的には湧水では、ph6.2~6.5、EC 162~173だったのに対し、浅井戸ではPh8.4、EC 143、パックテストはほぼ同じ値でした。

深大寺

湧水と違う水質を示した境内の井戸

こういう簡単な検査で、ちょっとした違いがわかるのは、何年やっていてもうれしいものです。歴史ある水は、大切にしたいですね。(夢の国より)

水の流れは絶えずして