水の流れは絶えずして

第十九話 とんぼ池の役割

2015.4.1
水の流れは絶えずして

年は桜が例年より少しだけ早いようで、大岡川の桜祭りも葉桜にならないか少し心配です。このころになると、冬を越えたヤゴがそろそろトンボに育ってくる季節かなと楽しみになってきます。今月はトンボの住む環境についてお話ししたいともいます。
すでに何度か話題としましたが、横浜のような大都市でも、小さな水辺空間を作るだけで、トンボが訪れてくれます。特定の種類のトンボを呼びこむことはとても難しいのですが、とりあえず水辺を作ると、トンボのパイオニアといわれていている「シオカラトンボ」がたいてい真っ先にやってきます。彼らは、蜻蛉池を作っているときから、偵察に来ていますから。

平沼小学

小学校屋上に作られたパレットトンボ池 こんな小さな水辺でもトンボがやってくる

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トンボのパイオニア シオカラトンボ (交尾中)

そのほかに、横浜の街中のトンボ池でよく見られるのは、ウスバキトンボ、ショウジョウトンボ、ギンヤンマ、オオシオカラトンボあたりでしょうか

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オスが真っ赤なショウジョウトンボ

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春先にみられる クロスジギンヤンマ (産卵中)

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オオシオカラトンボ

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毎年初夏に大陸から渡ってくる ウスバキトンボ

 

もう少しとんぼ池の役割について考えてみたいと思います。
やはり生きものの住める環境を都市の中に確保する、が大きな役割でしょうか。水辺があれば「とんぼ池」を主張しなくても、メダカ池でもカメの池でもいいのではないか、との意見もあると思います。地域でシンボル的ないきものがいるのであればそれでいいと思いますが、トンボはごご存知の通り、子どもの時(幼虫時代)はヤゴと呼ばれ水の中で生活し、トンボ(成虫)になる陸上で暮らします。つまり、池と樹林地の両方の良好な環境が必要です。また、ヤゴもトンボも肉食で生態系ピラミッドでは比較的上位の方にいて、たくさんのエサ(主に昆虫)が必要です。つまりトンボがいる環境=生態系が豊か、ということを示しています。

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新しく作ったとんぼ池も、夏には水草でいっぱいになる

 

もう一つ大きな役割として「環境教育」があると思います。トンボが住める環境を作っていく中で、水草を植えたり、周囲の樹林を整備したり、その中で、生物の移動の問題や、管理の方法、環境の中でのいきもののつながりを学ぶこともできます。
昨年度は、市内の小学校でとんぼ池を作ったり、とんぼ池で学習したりする機会を何度かいただきました。そんな中で実感することは、子どもたちがとんぼ池(生態系の)学習をして生長したり、クラスがまとまったりすることを見ることができますが、それ以上に若い先生が成長とんぼ池づくりを通して先生として生長することがあり、そんなときは、とてもうれしく思い、人を育てる役割もあるのだと思います。

水の流れは絶えずして