第二十話 とんぼ池の水・水源
2015.5.1水の流れは絶えずして
このところ、ホタルやトンボの話をしてきましたが、今回は水の流れに少し戻って、とんぼ池の水源の話をしたいと思います。
都市の中でとんぼ池を創ることで、さまざまな生きものを呼び込み、人にも癒やし・潤いの空間を与えてくれます。この環境を維持するためには、命の源ともなる水が必要となりますが、池の水は、植物や太陽熱によって蒸発します。蒸発量を正確に予測することは難しいのですが、真夏には一日あたり1cm以上も蒸発で水位が下がることもあります。池の底からの漏水、地下浸透も水が減る原因です。
このため、昔から水田でも灌漑用水確保の苦労や水争いやがあるように、都会のとんぼ池でも池に水が補給できるしくみを作るためには一工夫必要です。
では、とんぼ池の水源ですが、できれば自然の恵みを自然の力 つまり動力などを使わないで活用できるしくみを考えたいところです。
自然の恵みと云われて何を最初に考えますか?人それぞれ、また地域によっていろいろとアイデアがあると思いますが、谷戸の街横浜で私が一番に思いつくのは、「湧き水」です。一年中,安定した水質、水温で少しずつ水を供給してくれます。都市開発が行われる前からの家には、湧水を飲み水に使用し、また,湧き水を利用した池が日常として作られていました。
ただし、夏冷たく、冬は暖かい湧水は、人間にとっていいこともたくさんありますが、あまり水源に近いと、夏に水温が上がらず、生きものにとってはかえって環境が厳しくなることもあります。
湧水の元となる「地下水」はどうでしょうか?水源としては非常に優秀で利用価値は高いと思いまが、井戸を利用するためには井戸を掘る必要があり、くみ上げるための労力が必要なこと、井戸の深さによっては湧水と水質が全く異なることがあることに注意が必要です。
次ぎ考えられるのは天の恵み「雨水」です。横浜ぐらいの範囲であれば、場所を選ばずおおむね平等に水を得ることができます。問題は、欲しいときに降ってくれない(逆もありますが)こともあり、雨水をうまく活用するためには雨水タンクなどの活用によって、雨水を貯めて使うと、一年通してとんぼ池の水を確保することができます。
最後に,どうしても自然の恵みを得られない場合には、「水道」で水を補給するのが一番簡単です。あまり使いと水道代に反映しますので、管理者に怒られないように節水の工夫が必要です。
ちなみに河川水ですが、河川管理者が河川の敷地内に作るとんぼ池、ビオトープでは水源として使えますが、一般的には、水利権や水路の問題で活用が難しいのが現状です。