第118回 釜飯仲間・おこげのお話

2018.10.30
神奈川・緑の劇場

『釜飯仲間』=おこげのお話=
~神奈川の農業のこと、食べ物のこと。生産者に寄り添って31年~

神奈川の、誰が作っているかわかる農産物のみを用意する「野菜市」。それを当たり前のように14年間続けてきました。県内生産者の農業を守る“砦”(有)神奈川農畜産物供給センターに就職したのは1987年でした。以来31年、神奈川の生産者に寄り添って、なんて、かっこ付けているだけで、今の実態は、しがみついている気持ちです。彼らに頑張ってもらわなければ、困るのは私です。自分で作ることができない、親戚にも農業をやっている人はいないのですから。

神奈川では、8月中旬から秋の端境期に入ります。収穫できる野菜が少なくなりますが、秋・冬野菜の種まき、苗の定植に忙しい季節です。稲作生産者は稲刈りの季節です。9月の長雨で稲刈りが遅れたところが多いようです。それでも、神奈川の新米を用意できるようになりました。今年の味はどうでしょう?

近年は、天候異変が極端になる一方ですから、お米が無事に収穫できることにホッとします。お米の生産調整をし、余分に作らないようにして、生産者価格が下がり過ぎないようにしています。

もし、不作になれば、一気に米不足になりかねません。新米を食べることができると、喜んでばかりもいられません。そもそも、前年産のお米はどうなってしまうのでしょう?業務用などに廉価に出荷されるのでしょうが、年内は前年産のお米を食べて、新年から新米を食べる、という国民意識にならないものか、と思います。

2018年も、いよいよ残りわずかになってきました。どうか平準な気候の年であって欲しいと願って迎えた2018年でしたが、たびかさなる台風の上陸、豪雨被害、震度7の北海道地震、それらによる田畑の崩壊、ハウスなど施設の崩壊が深刻です。とうとう神奈川でも台風24号の強風と塩害が農作物に大きな被害をもたらしました。

それでも、県内の生産者から様々な農産物の提供をいただき、生産者があきらかな神奈川の作物を、たっぷり並べることができる気持ち良さ。生産者の皆さんへの感謝の気持ちが高まります。

もっともっと、身近な農業を知って欲しい、生産者と出会って欲しい、そして、日々の食生活に彼らが育てた作物を利用して欲しい。この考えは、私だけが特別に考えているのではありません。いよいよ、日本の農業がダメになる、その予感にさいなまれる仲間たちの共通した願いです。

(2018年10月29日記 おもろ童子)