第三十一話 都市の公園に田んぼをつくる
2016.6.1水の流れは絶えずして
先月に引き続き福島県西会津の水田に水を引くお話をしようと思っていましたが、今年のゴールデンウィール前半は完全に天気に見放され、外作業がほとんどできなかったため、お手伝いは山羊小屋づくりで終了となり水田に水が引かれるのを見届けることなく横浜に戻ってしまいました。今月は奥山の水田とは真反対にある金沢区の埋立地にある長浜公園で、NORAが受託している老朽化した田んぼの作り直しのお話をしたいと思います。
改修前の田んぼ、漏水や田んぼの土などいろいろと課題がある
ここ長浜公園で作っている田んぼは、アスファルト舗装の上に防水シートを敷き、土を入れてつくる完全なる人工構造物です。今回は、しです。
長いこと「都市での自然再生」に関わっていると最初に思うことは、少しでも自然に近づけたいとの思い、時にはあえて水田ビオトープと呼ぶこともあります。
このため、今回は防水シートの枠組みに、里山の間伐材を太鼓落としに加工し、積み重ねてみました。これだけでも雰囲気良くなったと思いませんか?
間伐材で枠組みを作り、防水シートを敷いた状態
水道施設もあるのですが、近くの水路から井戸用電動ポンプで水をくみ上げてつかうこととしました。
このあと、土を入れ、水を入れ、しっかりと練れば、立派な田んぼです!と思ったのですが......
土を入れ、水で練る。でもかなりどろどろでした。
実は現在、田んぼの粘土の堅さ調整で苦労しています。使った土の砂分が多かったこともあるのですが、最初は、どろどろになってしまい、一度ほしたら今度は、堅くなりすぎ、ちょっとした水加減が難しく、6月はじめに子どもたちを迎えた田植えに向け、悪戦苦闘中です。
乾かし、耕す! 何とか田んぼらしく
田んぼの隣にはとんぼ池があり、シオカラトンボ、ショウジョウトンボ、クロスジギンヤンマが飛び回り、マルタンヤンマのヤゴも生息するほど、まわりの自然とつながっています。
クロスジギンヤンマのヤゴ(上)とシオカラトンボのヤゴ(下)
シオカラトンボ
ショウジョウトンボのヤゴ(上)とマルタンヤンマのヤゴ(下)
田んぼに飛来するツバメ
こんなアスファルトの上でも水辺と田んぼをつくると、いきもの豊かな環境をつくることができるのだと、黙々と田んぼ作りをしています。
今年は、子どもたちとのトンボ調査も予定していますので、応援して下さい。