寄り道36 NORA第19期を迎えて

2018.9.1
雨の日も里山三昧

今回も前回に続き、コラム用の原稿を用意できなかった。
先日開催した第19期(2018年7月~2019年6月)通常総会の議案書に、昨期の総括と今期の方針を書いたので、それを転載する。

第18期事業報告(総括)

第18期は、主催事業への参加者数が全体で2,241名となり、この3年間は2,000名余りでであまり変化していない(第16期2,144名→第17期2,111名)。内訳をみると、「まちの近くで里山をいかすシゴトづくり」「もったいないから竹細工」「竹細工ワークショップ」が増加し、「森と畑と音楽と」「はまどま手習い塾」「里山の恵み・伝統文化と出会う上映会」などが減少傾向にある。

「はまどまプロジェクト」については、外部講師を招いて共催事業とする「はまどま諸々」が多様に開催されたが、全体的には個別の企画内容は良くても、竹細工事業以外、集客につなげられなかった。この数年間、同じ課題が解消されずに残っているので、「はまどま」の運営体制の改善や施設的な改修なども含めて見直す時期と考え、関わりの深い関係者に呼びかけて、2月に「はまどまの今後、NORAの未来を考える集い」を開き、その後も話し合い(寄り合い)を続けている。さいわい、多くの地域のキーパーソンが寄り合いに集い、建設的に意見を交わすことができ、第19期の「はまどま改革」に向けて良い準備をすることができた。

竹細工事業については、補助金収入がなくなったことから、収益性を高める取り組みを進めた。近年、参加者数は安定しており、また、参加者の定着率を上げるために企画内容を改善して、リピーターも増加してきた。6月に初めて展示販売会を開催するなど、次々と新たな企画に取り組むことができている。

「まちの近くで里山をいかすシゴトづくり」は、プロジェクトを開始して2年が経過し、ウェブサイト「里山コネクト」の開設、新団体「モリダス」の設立など、具体的な展開が生まれてきた。しかし、運営資金を寄付金に依存していることから、自立化に向けてさらなる取り組みが必要である。

一方、運営スタッフの平均年齢は高まっていることから、スタッフ募集や連携先の開拓、資金調達も含めた、中長期の事業計画を策定することが必要となっている。財務的には、受託事業収入・助成金が予算よりも増えたことから4期連続で黒字となり、中長期的な目標に向けて動ける資金が蓄えられた。第18期を後からふりかえると、「はまどま改革」を含むサードステージへの移行を模索し始めた時期となるのではないか。

第19期事業計画(方針)

19期は「はまどま」が満10年を迎え、プロジェクトへの参加者の広がりに限界が見られることから、空間デザインと運営体制を改革する。南区および近隣の公共機関、キーパーソンなどと話し合いを重ね、「はまどま」を一層開くことで「街中の里山の入り口」としての機能を高める。地域×里山により「里山とかかわる暮らし」を楽しむコミュニティづくりをすすめ、地域の社会課題の解決や価値創造につなげる。また、多摩・三浦丘陵群の里山を舞台に「はまどま」に加えて複数の拠点づくりを進め、さまざまな人・団体が、さまざまなやり方で活動に参加できる場を設け、ゆるやかなネットワークづくりを進めていく。
一方、2008年改革の効果も薄れ、運営に関わる中心的なメンバーが固定化しているので、法人の運営体制と事業全体を見直し、資金調達も含めて、中長期の事業計画を作成する。その際、活動実績を蓄積してきたNPO法人としての特徴を生かし、公益性と収益性を両立させながら自立的に活動を継続できる方策を考案する。NORAらしく「選択と集中」に頼らず、里山をモデルとして多様性と持続性を大事にしながら活動を展開し、「里山とかかわる暮らし」と「里山をいかすシゴトづくり」の輪を拡げていきたい。

雨の日も里山三昧