寄り道19 里山ブックリスト

2015.12.1
雨の日も里山三昧

先日、韓国に留学中の研究室OGから、
里山に関する書籍を紹介してほしいという問合せがあった。
その際、数冊の本を選んで伝えたのだが、
この機会に里山関連で勧められる文献をまとめておこうと考え、
里山ブックリストを作成した。
すでに、このコラムで取り上げた本も少なくないので、
このリストには索引的な意味も持たせたている。

とりあえず、今回はアルファベット順に文献を並べ、
コラムで取り上げたものにはリンクを貼った。
「ブックリスト」なので基本的には書籍に限ったが、
ネット上で読めるレビュー論文と拙論は例外的に挙げている。

今回は、別の機会に書いた紹介メモのある本だけ、簡単な説明を付している。
今後は、この説明を充実させるとともに、
テーマ別に分類したブックリストも作りたい。

里山ブックリスト

(※アルファベット順。コラムで取り上げたものには下線を引いた。)
相川明子,2008,『土の匂いの子』コモンズ.
青空保育なかよし会,1997,『土の子育て』コモンズ.
明峯哲夫・石田周一編,1996,『街人たちの楽農宣言』コモンズ.
有岡利幸,2004,『ものと人間の文化史118 里山ⅠⅡ』法政大学出版会.
浅羽良和,2003,『里山公園と「市民の森」づくりの物語―よこはま舞岡公園と新治での実践』はる書房.
足田輝一,1977,『雑木林の博物誌』新潮社.
今森光彦,1995,『里山図鑑』新潮社.
千葉徳爾,[1956] 1991,『増補改訂 はげ山の研究』そしえて.
深町加津枝・佐久間大輔,1998,「里山研究の系譜―人と自然の接点を扱う計画論を模索する中で」『ランドスケープ研究』61(4):276-280.
福田アジオ,1982,『日本村落の民俗的構造』弘文堂.
浜田久美子,1999,『森をつくる人びと―素人山仕事かく楽しめり』コモンズ.
林進監修・木文化研究所編,1999,『Q&A里山林ハンドブック―保全と利用の手引き』日本林業調査会.
広木詔三編,2002,『里山の生態学』名古屋大学出版会.
伊井野雄二,1999,『里山の伝道師―里山は人が育て人をそだてた自然である』コモンズ.
犬井正,2002,『里山と人の履歴』新思索社.
石田周一,2005,『耕して育つ―挑戦(チャレンジ)する障害者の農園』コモンズ.
石井実監修・日本自然保護協会編,2005,『生態学からみた里やあの自然と保護』講談社サイエンティフィク.
石井実・植田邦彦・重松敏則,1993,『里山の自然をまもる』築地書館.
亀山章編,1996,『雑木林の植生管理』ソフトサイエンス社.
環境省,2001,「日本の里地里山の調査・分析について(中間報告)」.
環境省編,2010,『生物多様性国家戦略2010』ビオシティ.←「生物多様性国家戦略2010」
関東弁護士連合会編,2005,『里山保全の法制度・政策』創森社.
北川フラム,2014,『美術は地域をひらく―大地の芸術祭10の思想』現代企画室.
木俣知大・山田隆信・吉村妙子編,2006,『市民参加の森づくりにおける「森林施業ガイドライン」』森づくりフォーラム.
岸由二,1996,『自然へのまなざし―ナチュラリストたちの大地』紀伊國屋書店.
岸由二,2013,『「流域地図」の作り方―川から地球を考える』筑摩書房.
岸由二編,1997,『いるか丘陵の自然観察ガイド』山と渓谷舎.
国際連合大学高等研究所/日本の里山・里海評価委員会編,2012,『里山・里海―自然の恵みと人々の暮らし』朝倉書店.
国連大学高等研究所が実施した「日本の里山・里海評価」プロジェクトの研究報告。生物多様性の現状と経済評価、傾向について分析している。里山がもたらす生態系サービス、機能間の相乗効果やトレードオフについて評価され、農林業という営みが多面的機能を維持するうえで不可欠であることが確認された。
木平勇吉,1996,『森林環境保全マニュアル』朝倉書店.
倉本宣・内城道興,1997,『雑木林をつくる─人の手と自然の対話・里山作業入門』百水社.
黒田慶子編,2010,『里山に入る前に考えること―行政およびボランティア等による整備活動のために』森林総合研究所関西支部.
まいおか水と緑の会『谷戸―よみがえる、人と自然のシンフォニー』.
丸山徳次・宮浦富保編,2007,『里山学のすすめ―<文化としての自然>再生にむけて』昭和堂.
松井健・武内和彦・田村俊和,1990,『丘陵地の自然環境―その特性と保存』古今書院.
松村正治,2007,「里山ボランティアにかかわる生態学的ポリティクスへの抗い方―身近な環境調査による市民デザインの可能性」『環境社会学研究』13:143-157.
松村正治,2010,「里山保全のための市民参加」木平勇吉編『みどりの市民参加―森と社会の未来をひらく』日本林業調査会,51-68.
松村正治,2013,「環境統治性の進化に応じた公共性の転換へ―横浜市内の里山ガバナンスの同時代史から」宮内泰介編『環境保全はなぜうまくいかないのか―現場から考える「順応的ガバナンス」の可能性』新泉社,222-246.
松村正治,2015,「里山の遺産を生かしたコミュニティの可能性―持続可能な地域づくりの観点から」堀芳枝編『学生のためのピース・ノート2』コモンズ,185-202.
松村正治・香坂玲 ,2010,「生物多様性・里山の研究動向から考える人間-自然系の環境社会学」『環境社会学研究』16:179-196.
緑区・自然を守る会,1991,『カタクリの咲く谷戸に─横浜・新治の自然誌』文一総合出版.
水本邦彦,2003,『日本史リブレット52 草山の語る近世』山川出版社.
水野章二,2015,『里山の成立―中世の環境と資源』吉川弘文館.
森本裕幸,2012,『景観の生態史観―攪乱が再生する豊かな大地』京都通信社.
守山弘,1988,『自然を守るとはどういうことか』農山漁村文化協会.
今でも「自然を守る」とは、人間の影響が及ばないように自然を保存することだと考えている人は少なくない。しかし、人間が管理してきた里山のような自然を守るためには、人と自然とのかかわりを守ることが求められる。こうした考え方を、生態学や環境史の知見をもとに論理的に展開する本書は、すでに自然保護論・里山論の古典となっている。
守山弘,1997a,『水田を守るとはどういうことか―生物相の視点から』農山漁村文化協会.
守山弘,1997b,『自然環境とのつきあい方6 むらの自然をいかす』東京大学出版会.
藻谷浩介・NHK広島取材班 (2013) 『里山資本主義――日本経済は「安心の原理」で動く』角川書店.
里山資本主義とは、地域に眠る里山の恵みを持続可能な資本と捉えて、これを経済活動に結びつけていこうとする考え方である。この本は、里山の資源をたくみに生かした先進事例を紹介し、課題山積の日本を救うヒントが里山にあることを示している。主張は明快だが議論は粗いので、批判的に読むテキストとして適当。
室田武,1985,『雑木林の経済学』樹心社.
中川重年,1988,『木ごころを知る―樹木と人間の新たな関係を求めて』はる書房.
中川重年,1996,『再生の雑木林から』創森社.
中川重年,2004,『森づくりテキストブック―市民による里山林・人工林管理マニュアル』山と渓谷社.
中川重年監修,2000,『イラスト 里山の手入れ図鑑』全国林業改良普及協会.
中村浩二・嘉田良平編,2010,『里山復権―能登からの発信』創森社.
中村俊彦,2004,『里やま自然誌―谷津田からみた人・自然・文化のエコロジー』マルモ出版.
中村俊彦・本田裕子,2010,「里山、里海の語法と概念の変遷」『千葉県生物多様性センター研究報告』2:13-20.
中山正典,2013,『富士山は里山である―農がつくる山麓の風土と景観』農山漁村文化協会.
日本林業調査会編,1998,『森林ボランティアの風─新たなネットワークづくりに向けて』日本林業調査会.
日本林業調査会編,2000,『里山を考える101のヒント』東京書籍.
日本財団ボランティア支援部監修,2000,『生き物緑地活動をはじめよう―環境NPOマネジメント入門』風土社.
野田公夫・高橋佳孝・九鬼康彰・守山弘,2011,『里山・遊休農地を生かす―新しい共同=コモンズの形成 (シリーズ地域の再生17巻)』農山漁村文化協会.
小椋純一,1996,『植生からよむ日本人のくらし―明治期を中心に』雄山閣.
小椋純一,2012,『森と草原の歴史―日本の植生景観はどのように移り変わってきたのか』古今書院.
大館勝治,1995,『田畑と雑木林の民俗』慶友社.
大住克博・奥敬一・黒田慶子編,2014,『里山管理を始めよう―持続的な利用のための手帳』森林総合研究所関西支部.
太田猛彦,2012,『森林飽和』NHK出版.
大内正伸,2013,『楽しい山里暮らし実践術』学研パブリッシング.
四手井綱英,2006,『森林はモリやハヤシではない―私の森林論』ナカニシヤ出版.
重松敏則,1991,『市民による里山の保全・管理』信山社.
重松敏則,1999,『新しい里山再生法─市民参加型の提案』全国林業改良普及協会.
宍塚の自然と歴史の会編,1999,『聞き書き 里山の暮らし―土浦市宍塚』.
宍塚の自然と歴史の会編,2005,『続・聞き書き 里山の暮らし―土浦市宍塚』.
菅野徹,2002,『町なかの花ごよみ鳥ごよみ』相思社.
田端英雄編,1997,『エコロジーガイド 里山の自然』保育社.
武内和彦,[1991]2006,『ランドスケープエコロジー』(『地域の生態学』改訂版)朝倉書店.
武内和彦・鷲谷いづみ・恒川篤史編,2001,『里山の環境学』東大出版会.
2000年代はじめの里山研究の水準を示した本書は、里山論の標準的なテキストと言える。そもそも里山や里地とは何かという議論からはじめ、人と自然が共生していくために里山とどうかかわるべきかについて、科学、市民、行政などの観点から総合的に検討している。里山に関する基礎知識をバランス良く身につける上で有益。
多摩市文化振興財団,1990,『雑木林と人びとのくらし』パルテノン多摩.
多摩市文化振興財団,2005,『多摩の里山―「原風景イメージ」を読み解く(展示図録)』パルテノン多摩.
内山節,2010,『共同体の基礎理論―自然と人間の基層から(シリーズ 地域の再生2)』農山漁村文化協会.
日本の共同体の歴史をさかのぼり、これが人と自然によってつくられていたことを確認したうえで、未来の可能性として共同体を論じている。人と自然が豊かな関係を結ぶ未来を構想するには、過去の共同体の姿からヒントを得ることができるだろう。私たちは新たに関係をつくることができるのか、という根源的な問いも含む刺激的な本。
内山節編,2001,『森の列島に暮らす―森林ボランティアからの政策提言』コモンズ.
鷲谷いづみ,2011,『さとやま―生物多様性と生態系模様』岩波書店.
鷲谷いづみ・矢原徹一,1996,『保全生態学入門―遺伝子から景観まで』文一総合出版.
養父志乃夫,2002,『自然生態修復工学入門―荒廃した里山を蘇らせる』農山漁村文化協会.
養父志乃夫,2009,『里地里山文化論 上―循環型社会の基層と形成』『里地里山文化論 下―循環型社会の暮らしと生態系』農山漁村文化協会.
山本信次編(2003)『森林ボランティア論』日本林業調査会.
山崎の谷戸を愛する会,2000,『かまくら・山崎 谷戸と暮らし』.
ユギ・ファーマーズクラブ編,1994,『「農」はいつでもワンダーランド』学陽書房.
湯本貴和編,2011,『シリーズ日本列島の三万五千年――人と自然の環境史(全7巻)』文一総合出版.
横浜市,2013,『横浜市森づくりガイドライン』.
依光良三,1999,『森と環境の世紀─住民参加型システムを考える』日本経済評論社.
全国雑木林会議編,2001,『現代雑木林事典』百水社.

雨の日も里山三昧