11月09日 (木)|里山の環境倫理ゼミナール 01 「カセギに流されないシゴトづくり」(参加者感想など)
里山の環境倫理ゼミナール 01 「カセギに流されないシゴトづくり―実践の現場から考える都市生活のあり方」
日 時:2017年11月9日(木)19:00~21:00
場 所:地球環境パートナーシッププラザ(東京都渋谷区神宮前5-53-70 国連大学ビル1F)
参加者:52名(内スタッフ3名)
主 催:NPO法人よこはま里山研究所(NORA)、たま里山研究室(TAMA)
協 力:株式会社かんぽ生命保険
内 容:
開会・趣旨説明
話題提供+コメント
ディスカッション
閉会・片付け
[話題提供者]
・小野淳さん((株)農天気代表取締役、NPO 法人くにたち農園の会理事長)
・石田周一さん((社福)同愛会幸陽園農耕班、NPO法人よこはま里山研究所理事)
[コメンテーター]
・鬼頭秀一さん(星槎大学教授、東京大学名誉教授)
[コーディネーター]
・松村正治(NPO法人よこはま里山研究所理事長、恵泉女学園大学特任准教授)
総合評価
とても良かった:46%/良かった:27%/普通:18%/あまり良くなかった:9%(回答数22)
自由記述(この日のゼミについて)
- 昨日の小野さん、石田さんの報告は、「農業とは……である(であるべき)」からではなく「……としての農業」という切り口での語りだったと思います。そこに、現場の生々しいうごきと新鮮さを感じました。鬼頭先生の「多義性」という概念には、応用範囲の広さと、それゆえの普遍性を感じた次第です。道路を例に鬼頭先生は語られましたが、川も田んぼもムラも同じですよね。しかしこの「多義性」に注目すると、わたし自身が日々の仕事で目にしている、生産性向上一辺倒の農業技術(の主流)になんとも言えない行き詰まり感も覚えました。
- 始終、仲間内の閉じた話に感じました。外に向かっていく感がなかったというか。。。。どうやって都市に住む普通の人たちを巻き込んでいくか、共感を集めていくか、といったポイントを深ぼりしたらよかったのではと思います。
- いろんな立場の人が対等な形で考えるきっかけになるのはいいですね。
- グローバル資本主義経済の中で生きなければならないからこそ、生態系や物事の成り立ちに対する感受性の向上が不可欠であると考えました。そのために、里山を、都市農園を、福祉施設を活用、協働することによる、地域に根付いた、確かで具体的な取り組みでかつ楽しいものの取り組みを進めていきたいと思いました。
- 小野さんの言葉の選びかたが印象的で示唆に富んでいた。
- 登壇者の取組はそれぞれとても参考にりコメントも良かったが、テーマの稼ぎと仕事について、自分には何が言いたいのか良くわからなかった。上野村が紹介された時、村の人たちは地域の自然・歴史・文化と関わりながら働くのが仕事で、お金を得るために働くのが稼ぎ、と簡単明瞭に紹介されたのが今も印象的です。稼ぎに流されていない人の壇上の議論がちょっと。こっぱずかしいんでしょうね。時間の問題というより肝心のことは懇親会にとっておいたという印象です。
- 実際に想いを持って日々具体的な実践されている方々のお話しを伺えて非常に刺激になりました。
- 自分自身が描いているビジョンに繋がる情報や、懇親会での出会いがあり、とても有意義でした。
- 「環境のためにこうしよう」という話はいろいろありますが、「人間は本来は弱い生き物。快適さや楽さを求めた結果、いまの社会ができた。」という小野さんの話はなるほどと思い、それを認識するところから動いていくという視点を持ち続けたいと思います。また、今は不確実な時代なので「どうなっても大丈夫」という姿勢を持ち続ける、というのはいい考え方です。
- 小野さんの、「恵まれている。世の中に対して悲観しない」という言葉が印象的でした。
- 障害者農園は精神の安定、自立にもなり、良い取り組みだと思う。
- 話題提供者が実践の現場から伝えるということ、いいなと思います。進行役の松村さんのコメントがそこに加わって、この場の方向性が拡散しない。このゼミが回数を重ねるとどういう感じに――と、興味深く思っています。石田さんが言った言葉「”つくる”より、”できる”が好き」は、私の実感でもあります。
- 実践者の方のお話はとても興味深くうかがいました。とってかえって自分が今後どう活動していくかはまだはっきりしません。環境への負荷とのバランスを考えつつも「切り干し大根じゃなくて、マグロを選んでいいよ」の視線は大事だと思いました。
- 印象的だったのは、小野さんが話題提供し、鬼頭先生が不確実性と多義性という言葉で再定義した、「人工的カオス」の話と、小野さんのおっしゃった、「都会のくらしは、場所によって振る舞いが決まっている」というお話しです。まさしくその通りだなと感じ、自分自身、すっかりその暮らしに染まっていることに気付かされました。ついつい、ガイドラインや、フレームワークに頼ろうとしてしまいますし、何か一つの解を目指そうという思考性を持っているな、と。それはそれで、ある場面では必要なときももちろんあるのですが、そういったことの外側、余白の部分を想像する力は持っていたいと思いました。
- それぞれの事例も刺激的でしたし、参加者からの無茶ぶりとも思える内容をきちんと汲み取り方向性を整える運営も感動しました。小野さんのプレゼンテーション力と切り返し力がかっこよかったです。家庭の事情で懇親会に出られず本当に残念でした。
- ディスカッション含め、全ての方のお話、とても勉強になりました。特に小野さんの農地は生産性だけではなく、不確実性の中のマネージメントとして、「自分がやりたいかどうかが第一」「未来は暗くない」「我々は凄く恵まれている」「宝物を信じる」というメッセージには勇気づけられました。「プロセスを楽しむ→稼ぎにつながる」というお話もありましたが、私も今一度、今までやってきた仕事を見つめなおし、地元の農家さんやご協力者の助けを借りつつ、色々なアイディアを実行していけるようにしていきたいと思いました。あっという間の二時間でしたが、濃い内容なのに進行もスムーズで、本当に勉強になりました。ありがとうございました。
- 参加者枠を広げて開催だったのでゼミナールというより講演会に近い印象でした。(定員が増えたおかげで参加できたので感謝していますし、致し方ないことだとも思っていますが)
- 石田さんのお話に心を動かされ会場で著書を購入しました。10年先には東京を離れようと思っていて、「カセギに流されないシゴトづくり」というテーマは今後の生き方を考える上でキーワードですし、自然と共に生きることも考えていきたいと思いました。
自由記述(NORAへの要望その他)
- 最近、レクチャー型に飽きてる?のでこういうのいいと思います。
- 事前の資料の共有、ありがとうございました。
- 「歴史は夜作られる」ということで、同じ想いを共有し今後の活動の幅を広げる関係が作れる機会を引き続き提供いただきたくお願いします。
- いろいろ興味深い企画をいつもありがとうございます。参加するだけで申し訳ないのでいつかお手伝いする側にもなれればと考えてます。
- 関心がある人の受け皿となる企画、でしょうか
- ちゃんとしたゼミナール(勉強会)もいいけど、ダラダラとした飲み食いの合間に参加者全員が何かしゃべるような会も、、、
- 今回、鬼頭先生がお話しになった、「市場経済」と「FEC自給圏」「相互扶助経済」をどうつないでいくか、ということについて、今回は場作り、雇用の創出、という点でのスピーカーでしたが、プロダクツを売る=直接市場経済と関わる生業のある人の視点から、お話しを聞いてみたいと思いました。
- 参加者枠を増やしていただいてありがとうございました。25名枠であればもっと議論を深められたであろうと思う反面、枠を広げていただいたおかげで参加できたので、これもまた良し!ということで。
- NORAさんの活動は以前から気になりつつなかなか参加できなかったのですが、これを機会に蒔田での食の活動やフィールド活動にも参加したいです。
- 小さな畑を管理しながらの日々のお弁当作りのため、なかなかイベントに参加出来ていませんが、これを機会に他のイベントにも参加させて頂ければと思っています。
主催者の感想
昨夜開催した「まちの近くの里山の環境倫理ゼミナール01」は、企画した私自身が深く考えさせられる内容だった。
懇親会で感想をうかがったり、アンケートを拝読したりして、今回のゼミが非常に多義的に受け止められたことがわかった。
それは、このゼミを今後も継続していく意味を強く確信させるものだった。
たぶん、何かスッキリとした話を期待していらっしゃった方には面白くなかっただろう。
しかし、すでに自分でいろいろと考えている方は、さらに考えて行動しようという意欲が湧いたのではないだろうか。
この受け止め方の違いは、何からどのように学ぶのかという学びのあり方と結びついていると思う。
また、自分では思い通りにならない他者性に対して、どう付き合って豊かに過ごすかという生き方とも結びついているようにも思う。
そして、そうした学び方や生き方によって、カセギがシゴトになったり、その逆になったりするように思った。
私はいつも学生に、正しく答えることよりも深く問うことを考えるように、と話している。
その言葉を、あらためて自分に向けて、この先をもっと深く考えたい。
(松村正治)