いい里山をつくる、いいコミュニティづくり
2014.2.28ひねもす里山/NORA雑感
いい里山をつくる、いいコミュニティづくり~都市環境で活動する里山保全NPOのねらい
よこはま里山研究所(NORA)は、一般的には環境保護、里山保全団体として分類されます。しかし、NORAの目的は、いい里山を守ることそれ自体ではありません。いい里山をつくろうと考え、行動する人びと、分かりやすく言うと、「いい里山をつくるコミュニティ」をつくることに目的があります。つまり、環境づくりの前に人づくりがあるのです。人びとが里山に集い、楽しみ、そして成長する場となるようにと考え、活動しています。
理想型としての里山環境では、身近な地域の資源が持続的に活用され、豊かな生物多様性が保全されてきました。これらの特徴は、短期的な経済効率性を優先する都市社会では軽視されがちです。一方、NORAは横浜という都市に拠点を置いていることを自覚し、里山をモデルとして、都市的な生き方・暮らし方に対するオルタナティブを提示しようとしています。私たちは、①里山の持続性から学び、日常的な活動を継続させつつ、楽しく無理のない範囲で活動を展開すること、②里山の多様性から学び、さまざまなメンバーの知恵や技を生かし、一人ひとりの意志を大切にしながら、互いに互いを生かし合う関係を築くこと、を目ざしています。こうした試みは、都市的な環境で生きづらさを感じている人に居場所を提供し、個人化が進む中であっても、新たなコミュニティづくりに貢献できると信じています。
里山の景観は、その地域の社会の姿を反映していると考えられます。いい里山をつくるためには、社会の持続性と多様性に高い価値を認めるコミュニティが必要です。それは都市に生きる人びとの生活の質を高め、生物多様性の豊かな里山をつくることにつながるはずです。
(2014年3月1日(土)明治大学黒川農場にて開催された里山シンポジウムの予稿)