ヨシ原・ふゆみずたんぼ

2009.7.31
ひねもす里山/NORA雑感

7/29-31の日程でゼミ合宿のために宮城へ行ってきました。

初日は、宮内泰介さん(北海道大学)の事例報告で知った北上川の河口部のヨシ原を訪れ、熊谷産業(石巻市)の須藤さんからお話しをうかがいました。この会社は、北上川河口に拡がるヨシを刈り、茅葺き屋根の工事を請け負っています。ヨシ原は里山の雑木林と同様に、適当に人が手を入れて初めて維持され、良質な材料が採れるということです。

説明していただいた中でもっとも印象的だったのは、ヨシとかかわって生きている人は、日本に限らずヨーロッパをはじめ世界中にいること、だから、この仕事はローカルだけれどグローバルでもあるということでした。なるほど、会社のウェブサイトに英語版を作ってある理由がわかります。

実際、今でも特にヨーロッパ諸国には茅葺き屋根がかなり残っていますし、また最近は、環境への注目が高いので再評価されているそうです。一方、日本では、建築基準法の制約により、社寺仏閣などの文化財を除いて、茅葺き屋根の家を新築することは非常に困難です。NORAも「里山とかかわる暮らしを」のバリエーションとして、「ヨシ原とかかわる暮らしを」も視野に入れたいですね。

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翌日は、ふゆみずたんぼ(冬期湛水水田)による自然再生事例として有名な蕪栗沼を、「蕪栗ぬまっこくらぶ」の事務局長・戸島さんとスタッフの伊藤さんにご案内いただきました。

私が蕪栗沼を知ったのは、「自然再生を推進する市民団体連絡会」として>『森、里、川、海をつなぐ自然再生―全国13事例が語るもの

マガンをはじめとした冬鳥の飛来地として有名なので、夏に行っても面白くないかもしれないと予想していましたが、実際に蕪栗沼一帯を一望できる場所へと案内されると、瞬間的に気持ちを大らかにしてくれるような包容力を感じ、とても気分が良かったです。おそらく、この気持ちは、湿地環境が一面に拡がる開放感と、その上をサギ類がゆったりと飛翔するスローな時間感覚から来るものだと思います。私のことなど気にせず生き物の動きを目で追っていると、次第に自分のペースも同調して、日常から解放された気分になります。これは、人と動物との関係性を考えるときに、何か重要なヒントを含んでいるような気がします。

蕪栗沼は、周辺の水田地帯とともに、ラムサール条約の登録地となっています。この「水田地帯とともに」という部分が、この場所をひときわユニークにしています。周辺の水田には、冬に田んぼに水を張る「ふゆみずたんぼ」があるので、ここにも水鳥が飛来します。もちろん、これを見るためには、冬に行く必要があります。ということは、もう一度、冬に行かないといけないですね。

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(M_M)

ひねもす里山/NORA雑感