西表島・旧稲葉集落の聞き書き

2009.12.23
ひねもす里山/NORA雑感

もう、いい加減にまとめないといけない仕事を抱えています。
それは、西表島の旧稲葉集落の聞き書きを冊子にする仕事です。
ほぼ、聞き書きのデータをまとめ終え、レイアウトもできているのですが、
最後の5%ほどの仕事が残っていました。
今回、その5%を詰めるために、
この仕事を私に依頼された島人と打合せをしたのですが、
逆に仕事を増やして帰ってきてしまいました。

旧稲葉集落とは、西表島の中央部、
浦内川中流域の沿岸にあった小さな集落です。
1970年頃に廃村になりました。
依頼主の島人が、子どもの頃、この集落に住んでいたことがあり、
当時の暮らしがとても豊かだったことを記憶されています。
集落の人びとの生活は半農半漁でしたが、
比較的広い水田に恵まれたため、
米作りによって十分に生計を立てることができたそうです。
目の前を流れる水量豊富な浦内川では、
エビ・カニ類、ウナギなどを捕ることができたし、
刳り舟で河口まで下れば、海の魚を釣ったり、貝を集めたりすることもでき、
周りの自然から多くの恵みをいただくことで、
充実した生活を過ごしていたと言います。

たしかに、不便ではあり、そもそも電気さえも通っていなかったのですが、
子どもたちは、身近な自然と向き合い、既成のものに頼らず、
一人ひとり工夫を楽しみながら遊ぶことで、学び、成長していきました。
そこには、自然に囲まれた幸せな少年時代があり、
子どもながら夢を持って生きていました。
対して、今の子どもたちには、自分が子どもの時と同じように、
夢を抱きながら生きていく環境があるのだろうか。
島人の目には、最近の子どもたちが夢を失っているように映っています。

そこで、依頼主の島人は、子どもたちに夢を持ってもらいたいと思い、
子どもの頃、楽しく過ごした旧稲葉集落の記憶を記録に残すことにしました。
私は、そのサポートをしているのですが、
なかなかまとめることができず、ご迷惑をおかけしています。
2010年の早い内に冊子のかたちで印刷しようと思っているのですが・・・。

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(M_M)

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