11月14日 (日)|森の植生研修と、定例活動(除伐)

2010年11月14日(日)10:00~16:00

午前中は講師の吉武美保子さんによる、森の植生調査手法の実地研修、
午後は定例活動(除伐作業)を行いました。参加人数は9名でした。
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研修は、まず軽い質問から始まりました。
「常緑樹と落葉樹の違いの分からない人いますか~?」(誰もいない)
「杉とヒノキの違いの分からない人は?」(半分くらい?)
「では、ヒノキとサワラの違いの分からない人は?」(全員?)などなど。
ドキドキしつつ答えながら、講習会への期待が高まります。
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まずは資料にある「植生遷移」の図を眺め、森は長い時間をかけて変わって行くこと
を教えて頂きました。日の当たる場所ではぐんぐん成長するが日陰では大きくなれない
落葉樹の多い陽樹林は、30~50年の比較的若い森。強くて暗い場所でも成長出来る
常緑樹の多い陰樹林は、150年以上の時間をかけてその姿になるとのこと。
川井緑地に数多くあり、除伐の対象となっているシラカシは、この森の中では一番
強いので、放っておくとどんどん成長し、杉・ヒノキや落葉樹にとってかわり、
陰樹林を形成していきます。

植生遷移について一通り学んだ後、森のふちをみんなで眺め、気付いたことを一人
ひとつずつ発表。「木が密集して生えている」「光のある方(森の外側)へだけ
枝葉が伸びている」「いろいろな植物がある」など、森の中側以上に森の縁のほう
が密集度が高く、木のカベが出来ていることが見えてきました。
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林縁部は、風をよけたり温度湿度を適度に保ったりと、森の中の環境を調整する役目
を自然としています。さらに、森を家に見立てると、大木は森の「柱」の役目、
森の上部に生い茂る枝葉は「屋根」の役目・・・と、上手く出来ている自然の
在り方に、素晴らしさを感じました。
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スギ・ヒノキ・サワラ、シラカシ、シロダモ、モチノキ、ヒサカキ、ミズキ、
カラスザンショウ・・・などなど、ここ川井緑地によくある木の名前や特徴を
実際に見て触りながら教えてもらった後、さらに外側に出て森を眺めました。

すると、上部トップのラインに針葉樹が並び、一段下がったところに、別のライン
があるのが一目瞭然です。シラカシの木々がそこまで成長していて、このままだと
10年、20年後にはTOPのラインがシラカシにとって代わる、とのことでした。
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また、保土ヶ谷バイパス側の林縁部も、外側から見ることで、今まで
気付いていなかったことが見えてきました。
道路からの汚染された空気で木々が傷み、枯れが目立ち、森の外側なのに
カベが出来ておらず、スカスカです。針葉樹の最上部は、本来はっきり
とした三角形になっているはずなのに、バイパス側の杉・ヒノキの上部
は丸みを帯びていて、それも樹々の元気がない証だそうです。
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そして、枝葉は日の光を求めて外側へ、外側へと伸びていくのが自然
なのに、バイパス沿いの、この樹々たちは、道路からの汚い空気を嫌がる
かのように、日の光と逆の方、森の中へ中へと逃げている姿は、見ていて
悲しくなってしまいます。ここにはシラカシなどの強い木を育て、カベを
作ってあげる必要があることが分かりました。
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このように外側から眺めて見えてくるものの大切さを教えて頂いただけでなく、
森の中にも入り、植生の概況をつかむ調査の仕方も教えて頂きました。
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一人ひとり、スケッチを描き、調査地、日時、天候、斜面の向き、空間占有度、
樹種などを記録していきます。スケッチは、写生風ではなく、ざっくりと、
おおまかにとらえるのがポイントです。写真を取るより、「要らないものは見ない」
絶妙な機能を持っている「人の目」で見て取った記録の方がはるかに役立つそうです。
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森を見るたくさんのポイントを教えてくださった、とても楽しく為になる講習会
でした。何度も足を運んでいる川井緑地の森ですが、これからは少し違った目で
見れそうな気がします。吉武さん、ありがとうございました。

みんなでお昼を食べたあと、午後は、前回の定例活動を行った続きの場所で、
常緑樹や枯れた針葉樹の除伐作業を行いました。
今日も、チェーンソーの安全な使用法をHさんが丁寧にみんなに教えてくれました。
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マイ鉈を買ったばかりで、Sリーダーに使い方を教えてもらっている人も。
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チェーンソー用の防護服も、ゆめコープの市民活動助成のお金で購入することが
でき、より安全に除伐作業ができる環境が整ってきました。感謝です。
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(芦&戸)

 

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