清流会館(イタイイタイ病資料館)
2009.8.24ひねもす里山/NORA雑感
今日は、富山空港の近くにある清流会館へ行きました。ここは、1976年にイタイイタイ病対策協議会が、つまり、被害者団体が被害地域の婦中町荻島に建設し運営している施設です。アポも取らずに行った場合、普通は自由に見学するだけなのですが、遠方から来た私たちのためにと、会長の高木さんがご案内してくださいました。
被害者側が裁判で勝ち取ったことは、(1) 被害者の救済、(2) 汚染農地の復元、(3) 発生源の監視、に集約されます。このうち、(1) は当然の要求ですが、(2) と(3) 、特に加害企業で三井金属の子会社である神岡鉱業(岐阜県飛騨市)に対して、立ち入り調査を継続していることは特筆すべきことでしょう(今年で38回目)。
イタイイタイ病裁判の勝訴から30年以上が経過し、公害の経験は風化しつつあります。だから、関係者への聞き取り調査や関係資料の保存は必要ですが、イタイイタイ病に関しては、熊本水俣病のような公的な資料館や研究施設がありません。このため、イタイイタイ病対策協議会は富山県や国に対して、公設資料館の建設を要望しています。新潟水俣病については、2002年に新潟県が「環境と人間のふれあい館」をオープンさせたので、これをモデルケースにできないかと検討しているというお話しでした。
里山保全にかかわっていると、たった30年前のことさえも、遠く記憶の彼方へと忘れ去り、気に留めないで暮らしている私たちの生き方と向き合わざるをえません。私たちの社会は、多くの犠牲者を出し、今なお多くの方が被害に苦しんでいる公害の経験もまた、忘れ去ろうとしているのでしょうか。
(M_M)