野生動物保護と環境エンリッチメント(多摩動物公園)
2009.11.27ひねもす里山/NORA雑感
今日は、ゼミ生とともに多摩動物公園を訪ねました。もちろん、可愛い動物を見て、癒されようという目的ではありません。野生動物保護とエンリッチメントについて学ぶために行きました。だから、おもに見たのはモウコノウマとチンパンジーだけです。
モウコノウマは、その名の通り、かつてはモンゴル周辺に多数生息していたウマで、現存する唯一の野生のウマです。70頭まで減少したところを捕獲して、飼育下で繁殖させるようにしました。つまり、野生状態では絶滅したのです。その後、動物園で繁殖を続けた結果、個体数は世界で1,000頭以上に増加しています。現在は、飼育下の個体をモンゴルの平原に帰す試みを進め、定着しつつあるとのことです。多摩動物公園は、千葉市立動物園とともに、モウコノウマを繁殖させています。野生動物を守るための動物園の役割を知ったり、野生とは何かを考えたりするには、とても良い教材でした。
次に、チンパンジーについてご案内いただいたのですが、ここでは、現在の飼育舎と以前の飼育舎を比較しながら、環境エンリッチメントについて学びました。動物園におけるエンリッチメントとは、飼育環境が単純で単調にならないように、動物の生息環境や野生での行動・生態を参考にしながら、環境を豊かに改善する試みのことです。今回、古い飼育舎の中にも入ることができ、かつてのチンパンジーの気分を味わうことができました。
動物園で飼育されているほとんどの動物たちは、死ぬまで飼育環境で過ごすことになります。「だから動物園なんてやめてしまえ」という声があることは承知しています。しかし、「だからこそ、飼育環境をなるべく良くしたい」という動物園スタッフの気持ちにふれると、人も動物も幸せになれる動物園の可能性を信じたくなります。
(M_M)