第11回 誘拐犯にご注意!

2010.4.29
イキモノのにぎわい

深緑の芽吹きがまぶしさを増すとともに、さまざまな鳥の声が聞こえてきます。
春から夏にかけて、繁殖シーズンの到来です。
オスは必死の求愛行動の結果、美しい奥さんをゲット。かわいい子供たちに恵まれ、
せっせとエサを運び、子供はすくすくと成長、やれやれやっと巣立ち・・・・
と思っていた矢先に突如発生する、ヒナ誘拐事件!
犯人の一部は、我々ニンゲンです。

以前、少しお手伝いしていた野生動物の救護施設でもこの時期、
「道に落ちていました」と鳥のヒナが、保護されてきます。
私も小学生のころ、用水路に落ちていたキジのヒナを迷子だと思い、家に持ち
帰ったことがあります。しかし、何のエサを与えてよいかわからず、次の日には
冷たくなっていました。
いま思えば、このヒナの親鳥が近くにいた可能性が高く、私が持ち帰らなければ、
そのヒナは立派に育っていたかもしれません。

人間の優しさが招く悲劇、「誤認救護」です。

巣立ったばかりのヒナは、直ぐに自立できるわけではく、親鳥にいろいろ
教わりながら徐々に大人になっていきます。
飛び方もおぼつかず、地面に落ちてしまうヒナもいます。
そんな場面に遭遇してしまったとき、助けてあげなくては!と、拾い上げたく
なるのが人情ですが、近くで助け舟を出すべく親鳥が待機しているはずです。
ネコにやられてしまうかも・・・と心配はつきませんが、親鳥を悲しませるような
誘拐をしてしまわないように、そっとしておいてあげるのが一番。

5月は愛鳥週間です。
各地で様々なイベントも開催されますので、身近な野生動物である鳥の生活を知る
絶好の機会です。知ってみると鳥の見方も変わり、ぐんと面白いと思います。
ちなみに私のお気に入りの鳥はセンダイムシクイ。
「焼酎一杯ぐいーっっ」と鳴く(そう聞こえる)ところが魅力的です。

(Tanji)
参考HP:
(財)日本野鳥の会HP 「ヒナを拾わないでキャンペーン」

参考資料:
『野鳥をたすけるはじめの一歩 身近な野鳥の救護・保護のためのハンドブック』
NPO法人野生動物救護獣医師会 1999

『もしも、野鳥のヒナを見かけたら・・・ 誤認救護を防止するために!!』
(財)日本鳥類保護連盟 2009