10/22(土)-23(日)日本環境会議沖縄大会

2016.10.23
ひねもす里山/NORA雑感

沖縄国際大学で開かれた日本環境会議沖縄大会に参加してきた。
おもに聞きたかったのは、以下の全体会・分科会であった。

1つ目は、新崎盛輝、宮本憲一、桜井国俊、我部政明という、なかなか重厚な登壇者が講演する全体会。この面子に同僚の上村英明さんが入っており、しかも最後を締めくくる講演をされるというので、物見遊山的な気持ちプラス同僚にエールを送るような気持ちで聞いていた。それぞれ主張が明快で迫力のある講演が多かったが、我部さんはその中でやや異色だった。自分の考えを説得的に語るというのではなく、聴衆を深く考えさせるような語り口だった。上村さんは、先住人民にかかわる国際人権法について話題を提供され、多くの関心を惹いていた。

2つ目は、第1分科会「環境・平和・自治・人権についての辺野古・高江の問い」。ここでは、辺野古・高江における具体的な環境問題も取り上げられたが、私が聞きたかったのは、屋良朝博さん、島袋純さんの報告と、前泊博盛さんのコメントだった。この方々は、日米安保体制について沖縄から考えるのに重要な識者であり、最近書かれた文章をいくつか読んで多くを学んだ。しかし、直接語りかけられると、それまであまり気にしていなかった論点が、にわかに重要性を増して迫ってくることがある。ときには、著者の話を聞きに出かけるのも大事なことだと思った。

そして3つ目。何よりも期待したのは、第4分科会「琉球弧における自衛隊配備と環境問題」であった。この分科会については、いくつかの報告に対して、個別に短くコメントしたい。
田里千代基さん(与那国町議)の報告「与那国の自衛隊配備と環境問題」では、与那国が自衛隊配備を受け入れざるをえなくなった経緯について詳しく説明された。経緯について私はだいたい知っていたので、現状どうなっているのかが気になっていた。地域社会が分断されたと冒頭に簡単に説明されたが、そこを具体的に深く知りたいと思った。
宮川耕次さんの報告「宮古島の地下水保全と新地方自治」では、石垣よりも先に計画が進んでいる宮古島からの報告で有益だった。宮古島の場合、地下水保全条例があり、水道水源地域の土地利用は厳しく規制される。しかし、自衛隊配備計画を急ぐあまり、島民の生命を支える水の保全さえ軽視されている現状が報告された。それでも、地下水を重視して、島の将来を考えるという宮古島の運動からは学べることが多いと思った。
八板俊輔さんの報告「馬毛島は琉球弧最北端の「無人島」」も有益だった。馬毛島は無人島であるため、普天間基地の移設先として話題になったり、自衛隊施設の計画もあったりするなど、何かと話題になる島だ。しかし、実態についてはほとんど知らなかった。種子島に住む八板さんは、これまで何度も馬毛島に上陸しており、島の写真を見せながら説明してくださったのでよく理解できた。戦後に入植した歴史があったとは初耳だった。報告要旨の結びとして、「馬毛島は種子島と歴史的、文化的に密接な深い関係があり、この島にふさわしい姿があると思います」と書かれていて、考えさせられた。
順番としては2番目だったが、ここで最後に挙げるのは大田静男さんの報告「石垣島への自衛隊配備計画」である。大田さんは、いかに出鱈目なロジックに基づいて、この計画が進められようとしているのかについて、説得力のある言葉で説明された。いつもお目にかかるときには、表情に余裕が感じられるのだが、この日はやるせない思いを抱え、いら立ちを隠せない様子だった。
辺野古や高江と比べると、先島への自衛隊配備計画は離島の問題であるためか、本土ではもちろん、本島でさえあまり関心を集めていないようだ。大田さんは、ぜひ関心を持って欲しいと切に訴えられた。
分科会終了後、大田さんに直接「どうすればいいでしょうか」と尋ねたところ、「運動やってくれ」と言われた。私が知り得ている情報は、先島に賢人方にとっては当然のことばかりで、これまであまり伝える努力をしてこなかった。しかし今では。東京で情報を発信しなければと思っている。
この分科会では、質疑応答の時間がほとんど与えられなかった。議論しようと思っていたので、かなり残念だった。

(松村正治)

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